楽天モバイルのストレージ特典 一部の人の大量利用で制限か
楽天モバイルは、7月末から契約者向けにクラウドストレージの特典を追加し、新たな魅力の1つになっています。
しかしそのサービス開始後、Webブラウザーからのアップロードができなくなるという制限がかかり、不満の声が上がっていました。なにが起きたのか、背景を聞いてみました。
Webブラウザーからのアップロードを一時的に制限
楽天モバイルに新たに加わったのは、クラウドストレージサービス「楽天ドライブ」の特典です。容量が50GBまでなら無料で、それを上回る有料プランも用意されています。
特に注目を集めたのが月額1100円の「無制限」プランです。アップルやグーグルでは容量2TBで月額1300円となっていることに比べると、これを上回る容量が必要な人にとっては破格のオファーといえます。
しかし、8月に入ってから「Webブラウザーからのアップロードができなくなる」という制限がかかり、利用者から不満の声が上がっていました。筆者のアカウントでは、8月2日時点ではまだ使えていたことを確認しています。
この件について、楽天モバイルは8月28日に「公正なサービス提供のための一時的な機能制限について」とのお知らせを掲載しています。
具体的には、「サービス開始後、一部の利用においてサーバーに想定以上の負荷がかかっていたため」(楽天モバイル広報)と説明しています。
こうしたサービスでは、ごく一部の人がトラフィックの大きな部分を占めるほど大量に使うことが知られており、アマゾンのような大手事業者でも提供終了に至った事例があります。
楽天ドライブの有料プランでは1ファイルあたり50GBまでの制限があるものの、ファイルを分割することで、固定回線から動画ファイルなどを大量にアップロードすることは十分に可能だったと考えられます。
楽天モバイルは主にスマホアプリからの利用を想定していたとみられ、Webサイトでは「どんな形式・大きさのファイルも、高速でアップロードが可能」とアピールしていました(現在は修正済み)。これはさすがに想定が甘かったと言わざるを得ません。
なお、今回の制限は一時的なものという位置付けとなっており、「Webブラウザーからのアップロード制限を撤廃できるか、社内で検討中」(楽天モバイル広報)としています。
追記:
楽天モバイルは9月24日からサービス内容を変更し、無制限プランで容量が1TBに達した場合のみWebブラウザーからのアップロードを制限。それ以外の制限は撤廃すると発表しました。これに伴い、無制限プランをやめたい人には期間限定で返金を受け付けています。
https://network.mobile.rakuten.co.jp/information/news/other/3111/
ちなみに、楽天ドライブの挙動を観察してみると、データセンターとしてはAWSの東京リージョンを利用しているようです。AWSのコストを考えると、月額1100円で無制限という設定はなかなかチャレンジングな印象を受けます。
スマホアプリ利用ならおトク?
今回の制限はWebブラウザーのみで、スマホアプリからのアップロードに制限はかかっていません。ダウンロードについてはWebブラウザーからも可能です。
その他の特徴として、楽天ドライブはもともと「Sendy」という名称のサービスで、現在の運営者は韓国法人のRakuten Symphony Korea, Inc.(日本語名称は楽天シンフォニーコリア株式会社)となっています。
なおデータセンターは日本、韓国、米国、ドイツにあり、日本のユーザーがアップロードしたデータや個人情報は日本国内でのみ取り扱う仕様としています。
楽天ドライブのデータは暗号化されており、楽天側からデータにアクセスするのは法令対応など例外的な場合に限るとのこと。AIの学習などに勝手に利用されることはなさそうです。
プランのダウングレードなどにより容量を超過した場合は、187日後に自動的に削除するとの説明があります。容量を超えた状態になったら、速やかにデータを退避したほうがよいでしょう。
50GBまでは無料で使えるので、これで他社のストレージに払うお金を節約できれば、サブブランドやMVNOに比べて楽天モバイルのほうがトータルで安くなる、という場合が出てきそうです。