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「入玉形なので慎重にいった」渡辺明名人、完璧な内容で斎藤慎太郎挑戦者を降し、名人戦第1局を制す

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月6日・7日。東京都文京区・ホテル椿山荘東京において第80期名人戦七番勝負第1局▲渡辺明名人(37歳)-△斎藤慎太郎八段(28歳)戦がおこなわれました。

 6日9時に始まった対局は7日17時59分に終局。結果は107手で渡辺名人の勝ちとなりました。渡辺名人は防衛に向け、幸先よく1勝をあげました。

 第2局は4月19日・20日、石川県金沢市「金沢犀川温泉 川端の湯宿 滝亭」でおこなわれます。

 両者の通算対戦成績はこれで、渡辺9勝、斎藤4勝となりました。

渡辺明名人、終局後コメント

渡辺名人「(振り駒で先手番になったら矢倉と決めていた?)予定で、はい。そうですね。(前例のある形、想定通り進んだ?)手が広い将棋なので、形が決まってから考えようかなっていう感じで思ってました。(41手目▲9五歩で前例を離れた)手抜かれたら(端9筋の位を)取るっていうのは一応予定としてやってました。(その後はあまり時間を使っていなかった)形が決まってからは、そんなに手が広くはないので。ちょっと指し手が早くなったところはありました。(1日目、57手目で封じたあたりの形勢は?)模様はいいかなとは思ってたんですけど。封じ手のあとちょっと(▲5三銀成△同金に▲5三同角成と)角切っていくか(▲4五桂と跳ねて)桂からいくか、一晩考えようかなと思ったので。考えて、桂跳ねていこうかなと。(形勢差が開いてきたと感じたのは?)はっきりよくなるまでは、なかなか大変かなと思ってたので。具体的に攻めの手番が回るまでは、模様がいい程度かな、という感じでやってましたけど。角交換して(74手目)△1九馬▲同飛車のあと▲5九香って打ってったあたりで、ようやく見通しとしては立ってきたかな、っていう感じで思ってました。(2日目夕休前の決着もあるのかと言われていたが)やっぱり入玉の形になってきたんで。読み抜けがあってはいけないんで。入玉形なのでちょっと慎重にいった、っていう感じですか。(今期名人戦は)休憩時間とか変更になった点もあるので、そのへんの感覚をつかんで、次局以降にいかしていきたいというところですかね」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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