【京都市上京区】京の名工のひな人形をロビーで無料公開! ひな祭りは宮中の暮らしをまねた遊びだった?
お内裏様におひな様、五人囃子の笛太鼓、赤い顔した右大臣などと、童謡にも出てくる雛人形ですが、最近では、それらがすべて居並んだ、七段飾りの雛人形を始め、本格的な雛飾りを見かけることも少なくなりましたね。「コロナ禍でも、密になることなく伝統の年中行事をじっくりと堪能してほしい」との思いを込めて、京都市上京区の区役所ロビーに雛飾りが並べられました。
京の暮らしの文化普及啓発実行委員会と上京ふれあいネット運営協議会が主催する「上京暮らしの文化プロジェクト 京の暮らしと年中行事 上巳の節句」が2022年2月28日(月)~3月4日まで開催されています。会場には京の名工として知られる有職京人形司大橋弌峰(いっぽう)さんの雛人形をはじめ、山田松香木店、国定織物、陶芸家田中大、京都の金継ぎ工房まさこの漆などの作品が展示されています。
3月3日は、1月1日の元旦や5月5日の端午などとともに、同じ数字が重なる5節句の内の一つで、上巳(じょうし)の節句です。古来、陽(奇数)が重なると陰が生じるとされ、節句の日には邪気払いの行事が行われてきました。平安時代には紙や藁で作った人形を川に流して、厄災を祓ったといい、これが日本での雛祭りの起源とされています。
その昔、医療や衛生状態の未発達により、成人前に命を落としす子どもたちが後を絶たなかったようで、「我が子が成人するまですこやかにいられますように…。」との思いを込めて厄払いをしたのだとか。 現在のような形式になったのは、江戸時代以降と言われています。ちなみに七段飾りが流行したのは昭和になってからのようです。
ところで、京の雛飾りのお殿様とお姫様は、向かって右側に雄雛、左側に女雛を飾るのが習わし。これは「君子は南面し、日昇の東側に座す」から来ていて、宮中の儀式の並びに由来していると言います。雛飾りにもある「左近の桜と右近の橘」や京都市を地図で見ると、右側に左京区があり、左側に右京区があるのもこの故事に由来します。古来は「大極殿で政務をとる天皇から見てどっちか」だったんですね。そういえば、京の雛人形はどことなく品があるお顔立ちですね!
現代は生きざまや男女の在り方、婚姻に対する捉え方も多種多様です。型にはまったしきたりもなくなってきて、それでいいのだと思います。ただ、古も今も子どもたちの健やかな成長を願う大人たちの思いは通じるものがあるのかも知れませんね。昔懐かしい風情を覗いてみてください。
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