Yahoo!ニュース

乾癬やアトピー性皮膚炎にも!エキシマ光線療法の最新情報

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:イメージマート)

【エキシマ光線療法とは?その仕組みと特徴】

皆さんは「エキシマ光線療法」という言葉を聞いたことがありますか?これは、皮膚科領域で注目されている治療法の一つです。

エキシマ光線療法は、308nmの波長を持つ紫外線Bを用いた治療法です。この波長は、皮膚の細胞に吸収されやすく、様々な皮膚疾患の治療に効果を発揮します。

従来の紫外線療法と比べて、エキシマ光線療法には以下のような特徴があります:

1. ピンポイントで病変部位を照射できる

2. 健康な皮膚への影響を最小限に抑えられる

3. 短期間で効果が現れやすい

4. 累積照射量を抑えられる

これらの特徴により、患者さんの負担を軽減しつつ、効果的な治療を行うことができるのです。

【エキシマ光線療法の適応疾患】

エキシマ光線療法は、様々な皮膚疾患の治療に用いられています。主な適応疾患には以下のようなものがあります:

1. 尋常性乾癬:

乾癬は、皮膚の炎症と角化異常を特徴とする慢性疾患です。エキシマ光線療法は、特に体表面積の10%未満の局所的な乾癬に効果的です。

2. 白斑:

メラニン色素の減少によって引き起こされる白斑にも、エキシマ光線療法が有効です。特に顔や首、胴体、四肢近位部の白斑に効果が高いとされています。

3. アトピー性皮膚炎:

かゆみを伴う慢性的な炎症性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎にも、エキシマ光線療法が効果を示します。

4. 円形脱毛症:

従来の治療に抵抗性を示す円形脱毛症にも、エキシマ光線療法が有効な場合があります。

5. 皮膚T細胞リンパ腫:

初期段階の皮膚T細胞リンパ腫に対しても、エキシマ光線療法が効果を発揮することがあります。

【エキシマ光線療法の安全性と注意点】

エキシマ光線療法は、一般的に安全性の高い治療法とされています。しかし、他の光線療法と同様に、いくつかの副作用や注意点があります。

主な副作用には、以下のようなものがあります:

1. 紅斑(皮膚の赤み)

2. 水疱形成

3. かゆみ

4. 色素沈着や色素脱失

これらの副作用のほとんどは一時的なものですが、長期的な影響については更なる研究が必要です。

エキシマ光線療法は、従来の光線療法と比べて副作用のリスクが低く、患者さんの負担も少ない治療法です。しかし、個々の患者さんの状態に応じて、適切な治療法を選択することが重要です。

エキシマ光線療法を受ける際は、以下の点に注意しましょう:

1. 医師の指示に従い、適切な頻度と強度で治療を受ける

2. 治療中は必ず目を保護する

3. 治療後は日光への露出を避け、日焼け止めを使用する

4. 副作用が現れた場合は速やかに医師に相談する

エキシマ光線療法は、様々な皮膚疾患の治療に効果を発揮する有望な治療法です。しかし、すべての患者さんに適しているわけではありません。治療を検討する際は、必ず皮膚科専門医に相談し、自分に最適な治療法を見つけましょう。

参考文献:

1. Hartmann Schatloff D, Retamal Altbir C, Valenzuela F. The role of excimer light in dermatology: a review. An Bras Dermatol. 2024.

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

美肌アカデミー:自宅で叶える若返りと美肌のコツ

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月4回程度(不定期)

皮膚科の第一人者、大塚篤司教授が贈る40代50代女性のための美肌レッスン。科学の力で美しさを引き出すスキンケア法、生活習慣改善のコツ、若々しさを保つ食事法など、エイジングケアのエッセンスを凝縮。あなたの「美」を内側から輝かせる秘訣が、ここにあります。人生100年時代の美肌作りを、今始めましょう。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

大塚篤司の最近の記事