レアル・マドリーと「神童」ウーデゴールへの期待値は?求められるタイトルと「甘美なる移行」の意味。
レアル・マドリーが、2020-21シーズン開幕に向けて淡々と準備を進めている。
マドリーは19-20シーズンのリーガエスパニョーラで優勝を達成。ジネディーヌ・ジダン監督の下、クラブ史上34回目のリーガ制覇を成し遂げた。
18-19シーズンを無冠で終えていたマドリーにとって、3年ぶりのリーガのタイトルは大きな意味を持った。だが、この夏は騒々しさとは無縁で過ごしている。新型コロナウィルスの影響で各クラブが緊縮財政に走る中、フロレンティーノ・ペレス会長は選手の獲得より売却を優先させてきた。
アクラフ・ハキミ(インテル)、ハメス・ロドリゲス(エヴァートン)、オスカル・ロドリゲス(セビージャ)、ハビ・サンチェス(バジャドリー)、ホルヘ・デ・フルートス(レバンテ)、ダニ・ゴメス(レバンテ)、久保建英(ビジャレアル)、ミゲル・バエサ(セルタ)、マルティン・カルデロン(パソス・デ・フェレイラ)、アルベルト・ソロ(グラナダ)...。マドリーは選手売却とレンタル料で9600万ユーロ(約119億円)の収入を得ている。
その中でマドリーがいち早く手を打ったのは、マルティン・ウーデゴールの復帰の決定だった。
ウーデゴールは19-20シーズン、レアル・ソシエダにレンタル加入。当初は2年レンタルの予定だったものの、レンタル期間を短縮してマドリー復帰が決まっている。一方でヘイニエル・ジェズス(ボルシア・ドルトムント)、ダニ・セバージョス(アーセナル)らをレンタルで放出。ジダン監督が選んだのはウーデゴールだった。
近年、ペレス会長は「若手推進プロジェクト」を進めてきた。
2010年夏にセルヒオ・カナレスを獲得したのが、その始まりだ。当時、ラシン・サンタンデールで輝きを放っていた18歳のカナレスを移籍金600万ユーロで迷わずに確保。その後ラファエル・ヴァラン、カゼミーロ、フェデリコ・バルベルデ、マルコ・アセンシオ、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエスを次々に獲得した。
昨年夏、マドリーは移籍金固定額1億ユーロでエデン・アザールをチェルシーから獲得した。だがアザール以外の補強に関しては、エデル・ミリトン、ルカ・ヨヴィッチ、ロドリゴと大半が21歳以下の選手だった。
8月23日、スペイン紙『マルカ』が現在のマドリーでジダン監督が「甘美なる移行」を行っていると形容した。
19-20シーズン、リーガの覇者となったマドリーだが、チャンピオンズリーグではマンチェスター・シティに敗れてベスト16で敗退している。マドリーが2年連続でベスト16敗退に終わったのは、およそ10年ぶりの出来事だ。
無論、変化には、ある種の痛みが伴う。産みの苦しみというものだ。ただ、チャンピオンズリーグで3連覇を達成したジダン・マドリーだけに、3年連続でベスト16敗退に終わればマドリディスタが不満を溜め込むだろう。若い選手を組み込みながらビッグタイトルを手にする。マドリーの新たな挑戦が幕を開けようとしている。