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私的興味の夏の甲子園!(2) 3回戦2日目と準々決勝が連戦に……なんとも雨にたたられる休養日

楊順行スポーツライター
(写真:アフロ)

 休養日。この夏から新たに、3回戦終了翌日にも1日設けられ、準々決勝翌日、準決勝翌日とあわせて3日間となる"はず"だった。だがこの大会では、雨による順延がすでに3日。これにより、3回戦後の休養日がなくなってしまった。

 この休養日、どうも雨にたたられるイメージがある。前段階として、選手の体調管理と障害予防のため、1日4試合行われていた準々決勝を2日に分けたのが2003年夏だ。だが、常総学院(茨城)が優勝するこの85回大会は雨天順延が頻発。帳尻を合わせるために、準々決勝は1日4試合となった。準々決勝が2試合×2日で行われたのは、春・夏ともに翌04年からだ。

 初めて休養日が導入されたのが、13年の夏。準々決勝4試合を1日で行う日程に戻し、翌日をそれにあてた。

 準々決勝を2試合ずつに分けた場合、1日目の勝ちチームは準決勝まで中1日空くのに対し、2日目の勝ちチームは、決勝まで3連戦。そういう不公平を解消するためで、差し引きすれば、トータルの開催日数は従来と変わらない。センバツでも同様に14年から導入。ただし雨天中止と引き分け再試合の発生で2日順延したため、休養日が取り消され、実際に実施されたのは15年からだった。

 この休養日、われわれ取材者にとっても、へばりかけの大会終盤に願ってもない恩恵となる。たまった原稿を書いたり、昼寝したり。だから14年のセンバツで貴重な休養日がなくなったときには、「選手の健康管理を謳いながら、大会運営を優先するのは矛盾していないか」と、八つ当たり気味の声も聞かれたものだ。

 また17年のセンバツでも、雨天中止は1日だったが、2試合連続の引き分け再試合があったため、またも休養日が消滅。それでも、天候不良が予想された決勝は1日順延され、優勝した大阪桐蔭と準優勝の履正社(大阪)ともに、準々決勝からの3日連戦を免れている。

休養日3日の英断も……

 さらに19年の夏からは、準々決勝翌日だけではなく準決勝翌日にも休養日が。決勝まで進んでも、準々決勝以降は5日間で3試合となり、過密日程が緩和されたわけだ。そして今年4月には、猛暑の中を戦う選手の健康管理のために休養日を1日増やし、3回戦終了後にも設定。従来、2日で行われる3回戦のうち、2日目に勝った4校は翌日の準々決勝が連戦となっていた。新たな休養日導入により、大会を通じて2日連戦が回避される……はずだったのだが、現時点で3日順延している今大会。チームによっては、3回戦と準々決勝の2日連戦が避けられなくなった。

 18年春からはタイブレーク、20年春からは1週間500球以内という球数制限をそれぞれ導入(コロナ禍による大会中止で、実際に甲子園で実施されたのは21年春から)。近年、選手の健康管理についての取り組みを意欲的に進めてきた日本高野連にとっては、なんとも無情な今回の雨だ。

 決勝前日の休養日に甲子園で予定されている女子高校野球の決勝だけは、なんとか無事に行われますように。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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