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東京都心は積雪なし 大雪報道に問題は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
関東地方の雪予想と実際の天気を比べたもの。東京都心は積雪ならず(著者作成)

 31日夜、東京都心はみぞれが降ったものの、積雪には至らず。天気予報は大雪一色のなか、予想よりも高い気温に疑問を持ったが、予想を修正することはできなかった。

終始、みぞれで

 タイトル表紙は関東地方の雪予想と実際の天気を比べたものです。31日午後10時、東京都心を含む関東地方の広い範囲で雪が予想されていました(左上)。

 しかし、実際は雪の範囲は予想の半分程度、東京都心は雨やみぞれでした(右下)。

 気象台の観測によれば、東京・大手町でみぞれが降ったのは午後10時過ぎから午前0時前までの約2時間。積雪には至りませんでした。

 当初、東京都心で積雪の可能性は低いとみられていました。しかし、31日昼前になって、東京地方に大雪に関する気象情報が発表され、1センチ程度の積雪が盛り込まれたことから、天気予報は大雪一色に。繰り返し、雪の予想が伝えられました。

予想より高い気温に疑問も

 当時を振り返ると、いつ東京都心で雪が降るのか、どのくらい積もるのか、そのことで頭がいっぱいでした。

 雨が降り出したのは午後5時頃から、気温をみると10度くらいあります。徐々に気温は下がっていきましたが、予想よりも2度くらい高い。このあと雪に変わるのだろうか?と疑問が湧きました。

【東京】気温と降水量の変化グラフ(1月31日、著者作成)
【東京】気温と降水量の変化グラフ(1月31日、著者作成)

東京の雪に3つのハードル

 東京都心では年に数回ほど、積雪を伴う雪予想がでます。2013年から2018年までの15例をみると、ほぼ的中したと思われるのは半数の7例です。

 東京の雪予想には3つのハードルがあり、一つ目は降水があるかないか、二つ目は雨か雪か、三つ目は積もるか積もらないかです。積雪の予想はこの3つをクリアしなければならず、予想の的中率は低くなりがちです。

【東京】積雪予想の検証結果(2013年から2018年まで、著者作成)
【東京】積雪予想の検証結果(2013年から2018年まで、著者作成)

 首都圏では数センチの積雪でも交通機関への影響が大きく、関心が非常に高い。だからでしょうか、天気予報を伝える側も最悪の状況を念頭に、「注意してください」よりも「警戒してください」と強めの表現になってしまいます。

 しかし、それでいいのかと迷いもあります。予想と実際の天気のずれを軽視せず、的確な気象情報を伝えることが大切。肝に銘じたいと思います。

【参考資料】

気象庁:雪に関する関東甲信地方気象情報 第1号、2019年1月30日16時48分発表

気象庁:大雪に関する東京都気象情報 第1号、2019年1月31日11時29分発表

気象庁:大雪に関する東京都気象情報 第2号、2019年1月31日16時49分発表

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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