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なぜ中国人の中には、PCR検査を受けるときにわざわざコスプレする人がいるのか?

中島恵ジャーナリスト
コスプレをしてPCR検査を待つ人々(中国のサイト「暁崇視界」より筆者引用)

3月末から上海市を東西の2地区に分けて各4日間行われていた大規模なロックダウン(都市封鎖)は、感染者数が減少せず、4月5日以降も継続されることになった。

封鎖前、スーパーには大勢の人が押し寄せて一時パニックになるほど大混乱したが、現在、上海市内の大通りや繁華街は、かつてないほどひっそりと静まり返っている。

上海市民の“外出”が許されるのはPCR検査のときの数十分間だけ、しかも、居住するマンションの敷地内だけ、という厳戒態勢だ。たいてい、PCR検査はマンションの敷地内(野外)で行われているからだ。

なぜ、わざわざコスプレするのか?

そんな中、中国のウィーチャットなどSNSで大きな話題になっている写真がある。4月4日、「暁崇視界」というサイトに掲載された、PCR検査に向かう人々がコスプレしている写真だ。まず先に数点、紹介しよう。

コスプレしてPCR検査を受ける人々(暁崇視界より筆者引用、以下同じ)
コスプレしてPCR検査を受ける人々(暁崇視界より筆者引用、以下同じ)

上海は東京とほぼ同じくらいの気温で、まだ肌寒い。それなのに、なぜ彼らはPCR検査に行く際、わざわざコスプレするのだろうか?

上海に住む知人に聞いてみると、その人はコスプレしていないと話していたが、以下のように、彼らの気持ちを代弁してくれた。

少しでも気晴らししたいから

「マンションの中に何日も閉じ込められている現状を想像してみてください。もう本当に息が詰まりますよ!みんな、外の空気を吸いたいんですよ!辛いんですよ!

そんな中、PCR検査のときだけが、外に出て深呼吸できる唯一の瞬間なんです。

マンションによって、自分の順番が早朝とか夜遅くになる場合もありますが、PCRの列に並んでいる間にちょっと体操したり、屈伸運動したりしている人もいますよ。

私のマンションでは、今のところコスプレしている人は見たことがないけど、こういう画像は私のSNSにも出回ってきました。見ていると、ちょっとクスっと笑っちゃって、ホッとさせられます。

せめてもの自己主張というか、単なる楽しみなんですよ。

若者の中には以前からコスプレしていて、公園で写真を撮ったりしている人もいたので、家に衣装があったんでしょうね。

コスプレしている人の中には、政府への無言の抗議でやっている人もいるかもしれません」

他にも、以下のような写真があった。

中国人はたくましい。厳しい政府のゼロコロナ政策に逆らうことはできないが、せめてもの気晴らしとしてコスプレし、気分転換を図っているのだろう。

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP新書)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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