人食いバクテリア!恐ろしい劇症型溶連菌が急増中・・東京都では既に136人が感染していた!
人食いバクテリアと呼ばれる、劇症型溶連菌が急増中とのこと。正式名は「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」で、英語名は「Streptococcal Toxic Shock Syndrome」と長いので頭文字をとって「STSS」と呼ばれています。
人食いバクテリアとはマスコミが付けた俗称ですが、名前のとおり感染すると傷口が壊死(えし)を起こし、腫れや痛みによるショック死、腎臓や心臓などの多臓器不全により致死率は30%~70%に達するといわれています。
他人事ではなく、いつ自分が当事者になってもおかしくないと思い、発症原因などを調査してみました。
去年1年間で409例⇒2024年3月17日までで521例!
国立感染症研究所が公開している「国内における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の増加について」とのサイトを調査してみると、とんでもない増加数になっていました。
「1) 劇症型溶血性レンサ球菌感染症の発生動向」によると「レンサ球菌(全群)」が原因での症例数は、次のようになっています。
●2023年1年間全体:409例
●2024年3月17日:521例
なんと、2024年は3月17日までのたった11週で、去年の年間症例数を上回る急上昇となっているのです。
もちろん、治った方も多いためこの患者数が現在も継続している訳ではありません。しかしながら、感染スピードは去年より急激にアップしているので怖いですね。
東京都では5月12日までで累計136人
国立感染症研究所の情報よりも東京都感染症センターの情報が分かりやすかったので、こちらの情報を使って紹介します。
東京都では5月12日までで、累計136人の方が「劇症型溶連菌」に感染しています。2020年からの過去5年間を比較しても、2024年は群を抜いて多いのが分かります。
また、年齢別では50代からの男性が多く感染していますが、最も多いのは70代の女性です。
このことから、高齢になるほど感染率が高くなることも分かります。とはいっても、10代の感染者もゼロではないので、全ての年齢で感染には気を付けることが重要といえるでしょう。
劇症型溶連菌にどうして感染するのか?
人食いバクテリアと呼ばれる「劇症型溶連菌」に感染する原因は、レンサ球菌によるものです。
A群レンサ球菌が原因で起きるのは「A群レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)」で、子どもがよくかかる病気として認知度が高く、皮膚の発疹や発熱、のどの痛み、咽頭炎(いんとうえん)などを発症します。
この通常の溶連菌感染症とは異なり、人食いバクテリアと呼ばれる「劇症型溶連菌」になる詳細なメカニズムは解明されていません。
ただ、レンサ球菌の中で、毒性の強いタイプが発生し感染することで通常のレンサ球菌咽頭炎でなく、劇症型溶連菌にかかってしまうようです。
国立感染症研究所によると、レンサ球菌の血清群は「A群・B群・C群・G群」に分かれて、A群による発症率が最も高いようです。
A群レンサ球菌は5~10%が体内に保有している
株式会社 東レリサーチセンターが作成した、情報整理シート及び文献データベース「情報整理シート」によると、A群レンサ球菌は人の口腔粘膜常在菌であり、保有率は5~10%と記載されています。
つまり約10人に1人は、A群レンサ球菌を体内に保有して生活していることとなります。
その内の数パーセントが変異して、人食いバクテリアと呼ばれる毒性の強いレンサ球菌となります。
つまり、特定の地域や特定の人が感染するのでなく、誰が発症してもおかしくない感染症という訳です!
皮膚や粘膜のキズから侵入し筋肉を壊死させる
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、強毒化したレンサ球菌が皮膚や粘膜のキズから侵入し、筋肉や血液、脂肪組織など菌が存在しない部位に達して発症します。
その症状は、次のように進行して行きます。
- 強毒化したレンサ球菌が傷口から侵入
- 傷口が酷く痛んだり腫れたりする
- 39度を超える発熱や意識障害に陥る
- 傷口から筋肉の壊死(えし)が始まる
- 肝臓や腎臓、心臓などさまざまな臓器が機能しなくなる
- 致死率は30%~70%に達する
恐ろしいのは壊死(えし)のスピードで、痛みや腫れに気づいてから早ければ1日で壊死が始まるようです。
壊死が広範囲になれば、手足を切断するしか命を救うことができないのだとか・・
どんな症状があれば「劇症型溶連菌」への感染を疑うの?
劇症型溶連菌は、かすり傷でも発症してしまうようなのですが、擦り傷や切り傷など多少のケガは日常でよく起きてしまいます。
その全ての状況にて感染症を疑っていると、生活に支障をきたすでしょう。そこで、どのような症状があれば人食いバクテリアを疑えばよいかまとめました。
- のどの痛み
- 発熱
- 消化管症状(食欲不振、吐き気、おう吐、下痢)
- 全身倦怠感
- 低血圧
- 傷口の強い痛みや腫れ
このような症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
人食いバクテリアを防ぐ方法!
人食いバクテリアと呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」(劇症型溶連菌)は、飛沫感染や接触感染によって感染することから、次のような対策が有効のようです。
- 手洗い
- 外出時のアルコール消毒
- 外出時のマスク
- 帰宅後のうがい
- 傷口を汚い手で触らない
- 軽い擦り傷でも必ずすぐに消毒する
コロナ禍から日常が戻ってきた現在ですが、また新たなウイルスによって日常生活が脅かされようとしています。
ウイルスは目に見えない恐怖として、世界中の人々が体験してきたことです。その防御策として、マスクの装着や手指のアルコール消毒が有効でした。
この対策は「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」(劇症型溶連菌)にも有効なため、外出時にはマスクは手放せなくなるでしょう。
また、傷口からの侵入を防ぐためにも、外出時には消毒液を持ち歩くのもよい防御策だと思います。
人食いバクテリアから自らを守るのは、身近な家族や自分ですからね。