ドリフ仲本工事さんの事故現場に供えられた花や酒 勝手に持ち去ると罪になる?
ザ・ドリフターズの仲本工事さんが交通事故で亡くなってから1週間。現場にある歩道のフェンスに花や酒などを供え、手を合わせる人が数多くいる一方で、深夜、勝手にそれらを持ち去る者も現れたという。
必要なものだけ選んで持ち去る
報道によれば、次のような話だ。
「24日深夜に撮影された映像を見ると、袋を持った人物が供えられた花を袋に入れて立ち去りました。袋には、かなり量が入っていることがうかがえます」
「撮影者:『何しているんだろう?掃除しているのかなとも思ったが、そういう素振りではなくなっていた。え?と思って。缶ジュースとか缶コーヒーとか、花束も3つ、4つはゴミ袋に入れていた』」
「現場を整理するために、関係者が持ち帰った可能性もありますが、横浜市に確認すると、現在、管理は行っていないということです」
「撮影者:『コーヒーとお酒は多分、持って行っていたと思う。お茶、水は(残して)あった。コーヒーとかは飲みたくて、持って行ったのではないかと思う。皆の気持ちがこもって、あそこに置いてある。悲しい、やめてほしい』」
2008年に発生した秋葉原無差別殺傷事件でも、現場の献花台に供えられた花や酒、タバコ、ペットボトル飲料などを深夜に持ち去る者が現れた。この献花台は千代田区が管理し、週2回、区が回収したうえで生ものを除いて保管していたことから、窃盗罪にあたるのではないかと問題になった。
占有や所有権の帰属がポイント
ただ、今回のように誰にも管理されてない場合には、事故現場から勝手にお供え物を持ち去ったとしても、窃盗罪などの犯罪は成立しない。誰も占有していない物だし、お供えをした者は所有権を放棄しており、故人には所有権が認められず、故人あてのお供え物の所有権が遺族に帰属するとも考えられないからだ。
寺の敷地にある地蔵に供えられた賽銭を勝手に持ち去った者が窃盗罪に問われ、有罪判決を受けた例はあるが、寺がその賽銭を管理・占有し、寺に所有権もあると認められるケースだった。
故人を偲び、事故現場に花などを手向けたい気持ちは理解できるが、献花台が設置されて管理、回収されていなければ、枯れ果ててゴミになるだけだ。食べ物などがカラスに荒らされる可能性もある。遺族や関係者に片付けを強いるのは酷であり、付近住民に迷惑をかけることにもなるので、供えたあとに持ち帰るか、翌日には回収に行くといった配慮も求められる。(了)