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「難しさはなかった」韓国も大注目のカンヌ女優・唐田えりかが語る“映画初ヒロイン”

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
提供:映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINEMAS

9月1日から公開される映画『寝ても覚めても』(濱口竜介監督)。

芥川賞作家・柴崎友香の同名恋愛小説を映画化し、「第71回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門にも出品されたこの作品で、ヒロインを務めるのが女優の唐田えりかだ。

2014年にアルバイト先のマザー牧場でスカウトされ芸能界入り。翌15年に出演したCMが話題になり、同年にはドラマ『恋仲』にも出演。その後も数多くのドラマに抜擢され、現在はファッション誌『MORE』の専属モデルとしても活動している。

また、昨年からは韓国にも活躍の場を広げている。唐田が出演したLG電子のスマートフォンのCMも大きな反響を呼び、「広末涼子に続く清純派女優」と評価されるなど韓国でも人気を広げつつある。

(参考記事:【動画あり】「広末涼子に続く清純派女優」LG電子のCMに出演した唐田えりかの韓国での評判

『寝ても覚めても』は、そんな唐田が本格演技デビューを果たし、自身初のヒロインを務めた作品だ。

日本と韓国で注目を集める若手女優は、この作品を通じて何を感じたのか。都内某所でインタビューした。

「演技は自分の中から勝手に出てくるもの」

「不思議と、難しいと思うことがなかったんです」

手始めに『寝ても覚めても』の撮影の感想を訊くと、唐田はこう切り出した。

映画で唐田が演じたのは、東出昌大が一人二役を務めた“同じ顔の男”亮平と麦(ばく)の間で揺れ動くヒロイン・朝子。

筆者も試写会に訪れたが、朝子の苦悩や葛藤を複雑な心境を演じるのは簡単なことではないと感じていただけに、その言葉は意外でもあった。

唐田はなぜ、朝子を演じることに難しさを感じなかったのか。

「実は、撮影に入る前から濱口監督に、“何も考えないでください”と言われていたんです。 “ああしよう、こうしようと考えず、周りの方の芝居を見てください”と。

撮影期間中は、その監督の言葉通り共演者のお芝居を見ることに集中して、自分の演技に対して完全に“無”の状態になっていました。そうして演技をしてみると、自分の中から自然に出てくるものがあったんです。そして、その演技にはウソがなかった。

演技は頭で考えて演じるんじゃない。勝手に表に出てくるものなんだ。そのことに気付けたからこそ、朝子を演じることにも難しさを感じなかったんだと思います」

提供:映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINEMAS
提供:映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINEMAS

そして、その経験が女優としての自信にもつながったという。

「もともとはモデル志望で、演技に対しては苦手意識が強かったんです。でも、『寝ても覚めても』と濱口監督に出会えたおかげで、お芝居に対して前向きになれました。

いまは、ようやく女優としてスタートラインに立てた気がしています。この作品に出演できたことは、私にとって大きな転機になりました」

韓国メディアも異例の注目

そんな『寝ても覚めても』は、今年5月の「第71回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門にも出品され、唐田もカンヌのレッドカーペットを歩いた。

唐田にとっては初の映画祭でもあったが、緊張や不安は感じなかったという。

「不安よりは、楽しもうという気持ちの方が大きかったです。実際に参加すると、会場の活気がすごくて、すべてがキラキラして見えました。日本に帰ってくるまではずっと夢見心地で、自分がカンヌのレッドカーペットを歩いたという実感もなかったくらいです」

特筆すべきは当時、唐田が日本のメディアだけでなく、韓国メディアからも関心を集めたことだろう。

前出の通り、唐田は昨年から韓国でも活動を行っているが、カンヌでは韓国取材陣のために特別にインタビューの場が設けられるほどだったというからすごい。

近年は“清純のアイコン”と呼ばれる藤井美菜をはじめ韓国で活躍する日本の芸能人も多いが、唐田への注目度の高さは異例ともいえる。

(参考記事:「美しすぎる!」とネットで話題に。韓国で活躍する日本芸能界の美女たち

「韓国でも注目していただいているのは、素直にうれしいです。月に一度くらいは韓国でもお仕事をしているのですが、最近は韓国でも私の存在が知られていることを実感しています。

この前は、ソウルの弘大(ホンデ)を歩いていたとき、若い男の子から“エリカ!”と名前を呼ばれてびっくりしました。突然のことだったし、まさか韓国の街中で声をかけられるとは思っていなかったので、動揺してつい“オヨヨ!?”と言ってしまって恥ずかしかった思い出でもあるんですけど(笑)」

釜山国際映画祭への出品も?

韓国での人気がうかがえる話だが、唐田が所属する韓国の芸能プロダクション・BHエンターテインメントによれば、『寝ても覚めても』は今年10月4日に開幕する「第23回釜山国際映画祭」への出品も検討しているという。

アジア最大級といわれる釜山国際映画祭では、唐田と同じBHエンターテインメントに所属するハン・ヒョジュをはじめ有名女優たちが登場するレッドカーペットも注目の的になってきた。

昨年10月の釜山国際映画祭では、初登場となった中山美穂も大注目を集めたが、韓国で人気の高い唐田が登場すれば盛り上がることは間違いないだろう。

(参考記事:中山美穂も登場!!歴代の釜山国際映画祭レッドカーペットからピックアップ!! 人気女優による“露出バトル”

「私のことを見てくれる人が韓国にもいることはありがたいことです。『寝ても覚めても』の韓国での配給も決まったので、たくさんの方々に観ていただけたらうれしいです」

取材中の唐田えりか(写真:著者撮影)
取材中の唐田えりか(写真:著者撮影)

日本はもちろん、韓国でも注目を集める唐田。それだけに気になったのは、今後の活動のことだ。『寝ても覚めても』で女優としてのスタートラインに立ったと語った彼女は今後、日韓を股にかけ、どんな活動を行っていくのか。次回は唐田のこれからのことを掘り下げたい。(つづく)

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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