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頼みづらい仕事も部下が快く「YES」と言う伝え方

太田章代新人育成トレーナー

上司や目上の人に何か依頼やお願いをするとき、あなたはさまざまに気を使い、お願いをすることでしょう。しかし、それが「上司から部下に」となるとどうでしょう?上司から部下に仕事についての依頼をするときも、しっかりと気を使っているでしょうか。

関係は「上司と部下」であっても、一人一人は感情のある人間です。それを、立場が上だからといって、「上司が部下に仕事を頼むのは当然」とばかり押し付けていては、人間関係を損なってしまいます。

上司の仕事は、部下に仕事を割り振り、業務をスムーズに回すことです。お願いの仕方によって、部下が快く動くかどうかが決まってくるのです。

上司はいつも何かを依頼している

ある本によると、「人は1日に平均22回、人にお願いをする」そうです。仕事の場においては、周囲のメンバーにお願いをすることが多いのは上司でしょう。

同じ依頼をするなら、上手に伝えたいものですし、依頼を聞いた部下が「喜んでやりましょう」と気持ち良く仕事をしてくれれば、仕事の能率もアップします。反対に、気分が乗らず渋々と仕事をしていると、ミスや手抜きの原因になる可能性もあります。

依頼の仕方で、仕事の出来栄えにも違いが出てくるのです。

感謝をされると人は動く

コンビニなど店舗のトイレで、「いつもきれいに使っていただき、ありがとうございます」との張り紙を見たことはありませんか?この張り紙の文言には、実は理由があります。

この張り紙の文言は、「どんな言葉でお願いすると、人は最も従うのか」という心理学の実験結果を踏まえて選ばれたものなのです。

①トイレはきれいに使ってください(促す)
②トイレを汚してはいけません(禁止)
③トイレを汚すのはルール違反です(罪)
④トイレを汚すと次に使う人が困ります(他人が迷惑)
⑤トイレをきれいに使っていただきありがとうございます(感謝)

上記の文言の中で、最も効果があったのは、⑤でした。

日本人には、「感謝形」の文言が一番有効、という結果だったのです。日本人は「感謝欲」をとても強く持っており、承認欲求を満たす言葉である「ありがとうございます」と言われると、従いたくなってしまうようです。

部下が気持ちよく仕事を受けたくなる方程式

常日頃の簡単な依頼なら、特に工夫してお願いする必要はないでしょう。しかし、普段と違って、完成に時間がかかったり、困難を伴う難しい仕事を依頼するときには、ひと工夫が必要です。

人は「ありがとう」と感謝や承認をされると、その相手からの依頼を断りにくくなります。

例を挙げましょう。部下にA商事の提案書を作ってもらいたいとき、次の2つの依頼の仕方は、相手にどんな印象を与えるでしょうか。

×「〇〇さん、A商事の提案書を作ってください」
〇「〇〇さんの提案書は丁寧で、お客様からの評判がいいんだよね。いつもありがとうございます。次はA商事の提案書の作成をお願いできますか」

×は、上司の言いたいことを一方的に伝えていて、語尾も「~ください」と命令形です。部下の意志は考えず、自分の言う通りに動かそうとしています。

「仕事なのだからやって当然」という気持ちはなくし、〇のように、相手に相談するように伝えると、部下も快く仕事を受けることができます。

【承認+依頼=気持ちよく仕事を引き受けたくなる】

部下に仕事を頼む際には、こんな方程式が成り立つのです。

まとめ

部下に仕事を頼む際にも、言いたいことをダイレクトに伝えるのでなく、快く「YES」と言いたくなるような伝え方を考えることが大切です。

しかし、どんなに言葉を工夫しても、その根底になくてはならないのは「いつも依頼を受けてくれてありがとうございます」という感謝の心です。その気持ちなくしては、どんなに言葉を尽くしても、言葉が上滑りしてしまいます。

そして、仕事が完了してからの「ありがとうございました」の感謝も忘れずに伝えるようにしましょう。そうすれば、また次も仕事を快く引き受けてもらえる関係が続いていきます。

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太田章代

新人育成トレーナー

愛知県岡崎市出身。損害保険会社の事務員から広告代理店の営業職に転職。入社2年目から6年連続売上トップ。32歳で統括本部長に抜擢。50人の部下を指導する。35歳代表取締役に就任。その後、2006年人材育成事業で独立。現在まで研修&講演に2,000本以上登壇。離職率の低下や、職場のコミュニケーション改善などで成果を上げる。独自の体験型講演が好評をいただき、講師評価98.7%でリピート率も高い。研修&講演を通して【働くを楽しむ】社会創りに貢献するという使命のもと、日本全国で精力的に活動中。

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