秀吉くたばる! 秀吉大坂城・幻の聚楽第はいまどこに?
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NHKの大河ドラマ『どうする家康』の最新回「太閤、くたばる」では、権勢を極めた豊臣秀吉が最期を迎えました。
予告の段階では「くたばる」が、茶々(秀吉の側室)視点なのか、家康視点なのか、はたまた別の誰かの視点なのか、話題になりました。
放映では秀吉自身の「なんもかも放り投げて、わしはくたばる。あとはおめえ(家康)がどうにかせえ」というセリフがあり、本人視点だったようです。
大坂城
『どうする家康』でも、淀殿(茶々)が秀吉の子を産んだシーンなどで登場した大坂城。
現在の大阪城(大阪市中央区)の敷地に入ると、あの江戸城や名古屋城と比べても、その壮大な規模感に圧倒されます。
大坂城は、もともと石山本願寺の跡地に建てられました。戦国時代、有力寺院は軍備を備えた一大勢力であり、石山本願寺は織田信長と11年に渡って交戦。1580年、和睦に応じこの場所を明け渡しました。
※石山本願寺が、大坂城と呼ばれていたという説もあります。正確な敷地は不詳。なおこの記事では、江戸時代までのおおさかは、「大坂」と記しています。
信長が本能寺の変で去った翌年の1583年、羽柴秀吉はこの場所に城を築き始めました。
秀吉の大坂城! と言いたいところですが、秀吉時代(関ヶ原の戦いの前)の城は、黒い城が目立ちますので、姿形が異なるようです。
現在の大阪城(石垣や堀を含む)は、豊臣家が敗れた大坂夏の陣のあと、江戸幕府二代将軍・徳川秀忠が新たに築城したものだったのです(ただし天守は築城から39年後に焼失し、昭和に再建)。
豊臣大坂城は、石垣などを含め、徳川家に現在の大阪城の地下に埋められてしまいました。
天守の手前の目立たない場所にある井戸のようなもの。普段は非公開ですが、梯子をつたって降りると、豊臣時代の石垣が眠っています。ブラタモリなどで紹介されています。
【ブラタモリ大阪城と真田丸】ロケ地・全ルートを写真で紹介!#54(とらべるじゃーな!)
豊臣大坂城の石垣は、一般公開に向け工事が進んでいます。
城郭では、簡単には運べない巨石で城主の権勢を示すことがあります。行きがけに、秀吉の権勢?と感じたこの巨石も、実は徳川家が、熊本藩の加藤忠広に作らせたものでした。
聚楽第
黒壁の五重天守、屋根には金箔(きんぱく)を押した瓦が輝いていたと見られる豊臣大坂城。しかし、秀吉が居城としていたのは、関白になる以前のわずか1〜2年と考えられています。
秀吉は1585年、関白(天皇を補佐する朝廷の役職)に上り詰めたため、京都に住むのが自然。1587年、京都の聚楽第(じゅらくだい)へ移り、1591年に太閤(関白を退位した役職)になると甥の秀次(その後自害)に聚楽第を譲り、伏見城に移り最期(1598年)もそこで迎えています。
※1592~1593年には、朝鮮出兵のため断続的に名護屋城(佐賀県唐津市)に滞在の記録あり(年表)。
関白・秀吉の京での住まい、聚楽第は形状をほとんどとどめておらず、石碑や遺構と思われるものがいくつかあるのみです。上の写真は、遺構の1つと考えられる場所。
聚楽第の石垣の可能性がある場所です!
【ブラタモリ・京都御所編】聚楽第跡、冷泉家など全ルートを写真で紹介!#142(とらべるじゃーな!)
※聚楽第本丸西濠跡(京都市上京区新桝屋町425)には、石碑と駒札(立て札)あり。
なお、京都の北部には、御土居(おどい)と呼ばれる、豊臣秀吉が京都を、外敵や水害から守るために建造した盛り土が残っています。現在も使われる、京都の洛中と洛外の区分は、御土居で分けられていたのです。
都全体を囲む全長約22.5kmの御土居を、秀吉は半年にも満たない期間で完成させたと伝わります。
※写真の御土居 京都市北区大宮土居町
【ブラタモリ南禅寺・御土居・新京極】全ロケ地をまとめ(とらべるじゃーな!)
伏見城
秀吉最期の地、伏見城は、京都市伏見区桃山町(京阪電車、丹波橋駅などを利用)にしっかりと遺されているように見えます。
しかし、現在の「伏見城」は、伏見桃山城キャッスルランド(閉園)という遊園地のシンボルとして、再建された模擬天守。本来の伏見城は、すぐそばですが別の場所にありました。
※伏見城には、指月伏見城と木幡山伏見城がありますが、前者は大地震で倒壊してしまいました。
秀吉らしさがいまでも残るのは、丹波橋駅の西側です。山の斜面に作られた城下町の線路に沿う方向に、まっすぐな道が何本か引かれています。
秀吉はでこぼこした斜面に、その性格を表すように、無理にまっすぐな道を作ったのです。これは、京都の碁盤の目に倣ったとも、権勢を示すためとも言われます。
桃山御陵前駅(または伏見桃山駅)近くの城下町にある駿河屋では、今でも秀吉に献上された羊羹が手に入ります。秀吉の面影がしのばれる味でした。
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