世界の平均「非」健康寿命の実態をさぐる
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00071631/top_image.jpeg?exp=10800)
日本は平均寿命が長い国として知られている。一方、寿命の概念には生存していればカウントされる平均寿命の他に、健康的な状態でいる年齢を意味する健康寿命(Healthy life expectancy (HALE))も存在する。WHO(世界保健機関)では平均寿命、健康寿命双方のデータが公開されているが、その2つを用いることで、「平均非健康寿命」も算出が可能となる。その実情を確認する。
WHOの定義では「健康余命」とは「病気やけがなどで完全な健康状態に満たない年数を考慮した、『完全な健康状態』で生活することが期待できる平均年数」であり、これがゼロ歳の時の値が「健康寿命」となる。他方、単純な「余命」は非健康な状態でも生存していればカウントされる年数で、ゼロ歳の時にあと何年生きられるかの推計が「寿命」となる。
WHOによる、国別の平均寿命の上位国は次の通り。後述する平均非健康年数との兼ね合わせのため、2015年の値を抽出している。
![↑ 国別平均寿命(歳、2015年、上位国、WHO公開値より)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00071631/image01.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
大よそ長寿命の話では常連の国がずらりと並んでいる。WHOの掌握できる範囲では、上位20か国はすべて80歳以上の平均寿命を有していることになる。
そしてWHOのデータベースからは2015年分の平均健康寿命も取得は可能。そこでこの2つの値を差し引きすることで、平均的な非健康年数、つまり「病気やけがなどで完全な健康状態に満たない状態で生活している年数」を概数ではあるが算出できる。基本的にこの非健康な状態は高齢において生じる老化で生じた状況を想定しているため、大よそ「高齢者が病気や老化で通院、入院している、あるいは介護を受けている状態」、つまり健康面での社会保障を受給している状態の年数を示すことになる。
この平均非健康年数に関して、平均寿命の上位国などの値を算出したのが次のグラフ。
![↑ 国別平均非健康年数(歳、2015年、平均寿命の上位国、WHO公開値より)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00071631/image02.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
平均寿命の上位国の差異は3年足らずであったことから、実のところ平均非健康年数も大きな違いが無く、10年前後で一致している。日本はやや低めで8.82年。これは高齢者が非健康な状態になってから平均として9年近くは生存し続けていることを意味する。中国が低めなのは平均寿命が短い(76.1歳)のに加え、平均健康寿命も短い(68.5歳)からに他ならない。
同じような計算を、2015年時点で60歳の人に対して行ったのが次のグラフ。
![↑ 国別平均余命(60歳時)(年、2015年、上位国、WHO公開値より)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00071631/image03.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ 国別平均非健康年数(60歳時)(歳、2015年、60歳時平均余命の上位国、WHO公開値より)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00071631/image04.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
こちらもゼロ歳時の平均非健康年数同様に、平均余命の上位国諸国でさほど違いはなく、5年強でほぼ一致しており、国によって大きな差異が生じていることは無い。寿命関連の話で、「日本は非健康な状態で生きている年数が長いので、寿命が長く見える」との指摘もあるが、それは的外れなものであることが分かる。
一方で、健康余命の定義にある「完全な健康状態」に関して、いくつかの方法が提起されているが、国によって採用するものが異なり、さらに同じ方法論でも国により仕切り分けが異なっているのが実情である。今件試算もあくまでも参考値以上の意義は無いのも否定はできない。
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