【三鷹】フランス星付きレストランで修行した人気ビストロの元シェフが開いたカフェ
カフェライターなかくき くみこが実際に訪れた1,500軒以上のカフェのなかから、大人が心から満足できるような魅力的なカフェを紹介する連載「大人のための東京カフェ案内」。第11回目は、フレンチビストロの元オーナーシェフが開いたカフェをご紹介します。
人気クレープリー併設、料理もスイーツも堪能できるフレンチカフェ
三鷹駅から南側へ歩くこと8分の場所に、白とピンクのかわいらしい外観の2つのお店が並んでいます。左側が2020年12月に西荻窪から移転してきたクレープのテイクアウト専門店「ラ・クレープリー(LA CRÊPERIE)」、右側が今回ご紹介する2022年9月にオープンした「サンドニ カフェ(Saint-Denis Café)」です。
フランス菓子の製法をもとに作るサクサク生地のクレープを販売する「ラ・クレープリー」は、お客さんがひっきりなしに訪れる人気店。お隣の「サンドニ カフェ」では、「ラ・クレープリー」の商品のほか、注文してから仕上げる皿盛りのデザートやボリュームのある料理を手頃な価格で味わうことができます。
内装のコンセプトは、フランスの歴史あるビストロ。両店のオーナーである矢作三郎さんは、20代の頃フランスのパリやプロヴァンスなどのレストランで修行を積んだ料理人です。
フランスで暮らすうちにフランスの文化や店のスタイルにも惹かれていったそうで、内装も本場さながら。まるでパリの街角にあるお店へ訪れたかのような気分が楽しめます。
フランス伝統菓子の製法を応用したクレープ
同店を訪れたら、やっぱりまず味わいたいのはクレープ!
「バター・シュガー」や「ラム酒・シュガー」などシュガー系が4種類と、「チョコレート」や「カスタード」など自家製クリーム入りのものを8種類用意しています。今回は、アールグレイクリーム入りの「紅茶」(500円)をチョイスしました。
同店では特に生地の味わいにこだわり、フランス菓子の製法を取り入れたオリジナル生地を開発。それぞれ適温にしておいた卵や牛乳、たっぷりのバター、小麦粉を混ぜ合わせ、一晩冷蔵庫で寝かせています。
また、焼き上げる際は生地にしっかりと火を通すのが矢作流。そうすることで、粉の持つ甘味や風味のポテンシャルを最大限に引き出すことができるのだとか。特殊な生地のため、ムラなくきれいに焼けるようになるまで二ヶ月以上もかかったのだそうです。
焼いたばかりのクレープは、パリッとした皮の食感と、ふわ〜っと広がるバターのリッチな香りが食欲をそそります。フィナンシェなどの焼き菓子を彷彿とさせる味わいで、自家製クリームも美味しいのですが、生地自体の旨味と香ばしさがたまりません。
毎日7種類以上を用意、注文を受けてから作り上げるアシェットデセール
同店ではクレープ以外にも、皿盛りのデザートである「アシェットデセール」を種類豊富に取り揃えています。季節の食材を使用した商品も多く、こちらは夏季限定で提供中の「トロピカルフルーツのミルフィーユ」(800円)。
バリっと焼き上げられたパイ生地でサンドしているのは、パッションフルーツのみずみずしさと爽やかな酸味をたたえる絶品のカスタードクリーム。生クリームの間には、ライチやマンゴー、ドラゴンフルーツがのせられており、夏気分満点のスイーツです。
同店は食事メニューもボリューム満点! こちらはなんと一人前300gもある「ポーク・ステーキ」(1,300円、12時〜14時までのランチタイムはサラダとドリンクがついて同価格)。
低温調理で火を通した豚肉を、さらにフライパンで香ばしく焼き上げ、その上からマスタードソースがかけられています。しっかり焼き上げられた肉本来の香ばしさをまといながらも、内側はしっとりとジューシーな一品。
「フランスにある古き良きクラシックなカフェは、大きな肉がお皿に盛り付けられていて、ソースもドーンとかけられているんです。僕はそれをやりたかった」と、矢作さんは笑顔で語ります。
お金のない時代にクレープに救われた、今の仕事はまさに天職
フランスから帰国後は自由が丘のフランス料理店で勤めた後、荻窪で「アベス(Abbesses)」というフレンチビストロを営んでいた矢作さん(後に恵比寿へ移転)。その後自由が丘時代から共に働いてきたスーシェフに店を任せ、矢作さんは一人独立し現在のお店を開いたという経緯があります。
ところで、以前経営していたお店はいわゆる“高級フランス料理店”でしたが、どうしてまったく異なるクレープ店を開いたのでしょう。
「フランスで修行していた時は全然お金がなくて、フランス料理なんて食べられず、実際に僕の生活を支えてくれていたのは街角で焼かれていた素朴なクレープだったんです。これからはお金を持っている人しか来れない店ではなくて、低価格で毎日来てもらえるような店がやりたいと考えました。
こうしてクレープ屋をやっていると、子どもが小銭を握りしめて店に来たり、おばあちゃんが来たり、毎日いろんな人が来てくれる。もしかしたら、お金に苦労していたあの時の自分のような人が来ているかもしれない。自分は儲からなくてもいいので毎日来てもらえる店にしたい」と、矢作さん。
クオリティーの高い商品を提供しているのに対しなるべく価格を抑えているのも、そういった想いがあるからだそう。
店名につけられた「サンドニ」とは、フランス郊外にある移民の多い街の名で、矢作さんはフランスで暮らしていた当時、その街の人々によく助けられていたのだとか。フレンチのシェフとして30年以上培ってきた技術で、多くの人に喜んでもらいたいと作ったのが、「サンドニ カフェ」と「ラ・クレープリー」なのでした。
パリの日常を感じる空間で、腕利きのシェフが作るスイーツや料理が楽しめる「サンドニ カフェ」。次のお休みに訪れてみてはいかが。
【店舗情報】
店名/サンドニ カフェ
住所/東京都三鷹市下連雀4-21
公式サイト/https://www.instagram.com/lacreperie_stdenis/(外部サイト)
アクセス/JR中央線、総武線 三鷹駅より徒歩8分
定休日/日、月曜
営業時間/12時〜21時(L.O.20時30分)※平日に限りクレープの提供は13時〜19時まで。サンドニ カフェではクレープのテイクアウトはできません。
※新型コロナウイルス感染症対策により店舗の休業や営業時間の変更など、掲載内容と異なる場合があります。訪問される前に最新情報をご確認されることをおすすめします。
本連載では、今後もおすすめの魅力的なカフェを紹介していきます。ご興味のある方はぜひプロフィールからフォローをして頂けるとうれしいです。日々のカフェ巡りはインスタグラム(外部サイト)やツイッター(外部サイト)に投稿中!
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