まわりの目が気になる…ひとり温泉旅行の「ぼっち飯問題」を解決する方法
「ひとり旅は好きだが、やっぱり食事のときはさびしさを感じる」
これはひとり旅初心者からよく聞く悩みである。「あえてひとりで来ている」と心の中で強がっていても、まわりの宿泊客が楽しそうに食事をしているのを見ると、さびしさが募る。そうなると、まわりの視線も気になってしまい、せっかくのご馳走を味わえない。
いわゆる「ぼっち飯(ひとりぼっりでの食事)問題」である。
ひとりでの温泉旅(=ソロ温泉)が充実した旅になるかどうかは、温泉だけでなく食事もカギを握る。その土地の名産をいただくのも、旅の愉しみだからだ。
ところが、宿の夕食や朝食には、大広間や宴会場、レストランなどに宿泊客が一堂に集められて、一斉に食事をとる、というパターンが多い。まわりの目が気になると、せっかくのご馳走も思う存分に味わえない。
では、どうするか?
部屋食の宿やプランを選ぶ
解決策の王道は、部屋食の宿を選ぶことだ。
部屋でひとりきりの食事であれば、孤独を感じることはない。予約する前に電話やホームページで確認しておくといいだろう。ネット予約であれば、プラン内容に食事が個室なのか大広間なのか記されていることが多い。
ただし、部屋食の場合、食事が冷めやすいというデメリットもある。やはり温かい料理は温かいまま口に運びたい。
部屋まで食事を運ぶには時間がかかるから、よほど効率よく運ばないと、できたての料理であっても、部屋に着く頃には冷めてしまう。客室が多い宿だと、配膳に時間がかかるので、なおさらである。
さらには、配膳の手間を省くために一気出し(最初からすべての料理が並ぶスタイル)の場合も多い。この場合、全部料理が済んでから運ぶため、ほとんど冷めてしまっている。
したがって、部屋食を選ぶなら、料理に力を入れている旅館か、主人や女将が自ら料理を手がける小規模の宿にするとよい。家族で経営しているような宿は、動線が短いので料理が冷めにくく、出来立ての料理を臨機応変に提供してくれることも多い(もちろん小規模でも料理に力を入れていない宿もあるので、見極めが必要となる)。
小規模の宿を選ぶ
部屋食に不安を感じる人は、食事処のある宿を選ぶほうが無難だ。それなりに気の利いている宿であれば、ひとり客が気まずい思いをしないように、グループ客との距離を離す、目隠しになるような衝立をたてる、他のお客が目に入りにくい座席に案内するといった気遣いをしてくれることが多い。
筆者の経験では、ひとり客に対して気を遣ってくれる宿は増えているように感じる。よくあるのは、自分の客室以外の別の客室で食事を提供してくれるというパターンだ。
これなら、まわりの目は気にならないし、部屋に食事のにおいが残るという問題もクリアになる。このような柔軟な対応してくれるのは、決まって小規模の宿だ。そういう意味では、キャパシティーが限られる家族経営の宿のほうがソロ温泉には向いている、といえるだろう。
外食、持ち込みで済ませる
素泊まりにして、宿での飲食を避けるという方法もある。
近くに飲食店のある宿であれば、外で食事を済ませてしまう。いわゆる泊食分離だ。
旅館で大勢で食べるケースよりも、飲食店のほうが他人の目は気にならないだろう。居酒屋などに入れば、地元の特産や郷土料理にありつけることも多い。
「飲食店であってもぼっち飯は避けたい」という人は、食事の持ち込み可の宿を予約するのが無難だろう。筆者も道の駅などでその土地の名産品や地酒を買い込んで、気軽に食事を済ませることがある。やはり「リラックスできる」ことは食事の満足度を高めるうえで、重要なファクターとなる。
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筆者の経験からいえば、ぼっち飯問題の根本的な解決策は「場数を踏むこと」だ。自分が思っている以上に、まわりの人は気にかけていない、ということを肌で感じられれば、もっとひとり旅を楽しめるようになるはずだ。