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ワールドシリーズ展望。フィリーズのポストシーズン16本塁打に対し、アストロズは12本塁打だが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
フィラデルフィア・フィリーズ Oct 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ここまでのポストシーズンで、フィラデルフィア・フィリーズは、16本塁打を記録している。一方、ワールドシリーズでフィリーズと対戦するヒューストン・アストロズは、12本塁打だ。フィリーズでは、ブライス・ハーパーリース・ホスキンスがホームランを5本ずつ打ち、カイル・シュワーバーも3本。アストロズは、ジェレミー・ペーニャの3本が最も多い。

 もっとも、両チームの本数の差は、試合数の違いによるところが大きい。フィリーズは、ワイルドカードの3番手としてポストシーズンに進出し、ワイルドカード・シリーズからスタート。3シリーズで計11試合を行った。一方、ア・リーグ最高の勝率を記録したアストロズは、ディビジョン・シリーズから。2シリーズともスウィープで勝ち上がったので、計7試合だ。ホームランのペースはほとんど変わらず、346打数で16本塁打のフィリーズが21.6打数/本、255打数で12本塁打のアストロズは21.3打数/本。わずかにアストロズがフィリーズを凌ぐ。

 フィリーズでポストシーズン20打席以上の9人中、出塁率.350以上はハーパーとシュワーバーしかおらず、OPS.800以上も、この2人だけだ。ホスキンスは、こちらもハーパーと同じ11打点を挙げているが、出塁率が.234と低く、OPSは.780に届いていない。それに対し、アストロズで20打席以上の7人のなかには、出塁率.350以上が3人いて、チャズ・マコーミックも.348を記録している。OPS.800以上は7人中5人。いずれも.885以上だ。サンプル数はわずかながら、打線としてはアストロズのほうが上のように見える。

 また、レギュラーシーズンの防御率は、アストロズが2.90、フィリーズは3.97。ここまでのポストシーズンは、1.88と3.06だ。

 なお、今年、両チームが顔を合わせたのは、レギュラーシーズン最後の3試合。結果は、アストロズの2勝1敗。各試合のスコアは、0対3、10対0、3対2だった。過去4年(2018~21年)は、対戦していない。

 どちらのチームの選手も、相手チームとの対戦は少ないが、フィリーズのブランドン・マーシュノア・シンダーガードは例外だ。2人とも、夏に移籍するまでは、アストロズと同じア・リーグ西地区のロサンゼルス・エンジェルスにいた。

 マーシュの場合、移籍後の3試合を含めると、今シーズンのアストロズ戦は15試合を数え、他のどのチームよりも多い。そのスタッツは、打率.293(41打数12安打)、出塁率.412、OPS.826。12安打中5本は二塁打だ。ちなみに、昨シーズンは、9試合のアストロズ戦に出場し、打率.344(32打数11安打)、出塁率.432、OPS.776を記録した。

 シンダーガードは、移籍前にアストロズ戦で2度投げ、4月9日は5.1イニングで無失点ながら、7月12日は4.0イニングで3点を取られた。

 ワールドシリーズは、10月28日に始まる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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