仕事を失ったとき若者は何を考えるのか。
若者人口(15歳~39歳)が約3,600万人に対して、無業の若者は約250万人と16人にひとり、若年無業者のうち求職中である失業者(若年無業者求職型)は144万人と若者の25人にひとりが仕事を探していることになる。最初に入った企業に晩年までずっと勤めたいという希望はあっても、それが実現する心から確信できる若者は少ないだろう。
転職や起業、離職にしても、「仕事から離れる」時期がどこかである可能性は非常に高いのではないだろうか。そのなかで、現在、無業状態である若者651人に対して、「学校・仕事から離れている間どんなことを考えていたか」を複数回答で聞いた結果が以下の図だ。
※学校が入っているのは、学校中退後に仕事に就くことがなかった若者を含んでいるため。
出典:ひきこもり、矯正施設退所者等みずから支援に繋がりにくい当事者の効果的な発見・誘導に関する調査研究
将来に関しては、52.7%が「どうにかしなくては」と考える一方、50.2%が「漠然と不安」を抱えている。無業になっても「どうにかなるだろう」と思えるのは14.1%であり、多くは焦りと不安に駆られることになる。仕事を離れても大丈夫だと思えるひとは少数派だ。
意欲に関して注目すべきは「仕事に就きたい」と回答しているのが61%となっており、無業から有業への移行を望んでいる。一方、「意欲がわかない」と回答している若者は29.3%となっている。求職行動を起こしていない若年無業者に対する調査は以下を参照したい。
支援に関しては、「自分でなんとかしないと」いけないと考える若者と、「誰かの助けを借りないと」いけないと考える若者がともに約50%となっているが、誰かの力を借りるのではなく、自己責任の範疇であると考えている個人が半分にも上っている。自分で何とかすることよりも、必要に応じて外部リソースを使うことで学校や仕事、その他の進路を獲得すべきだと思うが、あくまでも「自力」であることが重要だと考えているのかもしれない。
ただし、その手段について聞いた場合、「自分が仕事に就くための方法を知っている」若者は14.6%である一方、「どうしたらいいかわからない」との回答が79.9%となっており、自らの責任において状況を改善しなければならないが、その手段はわからないという。
しかも、誰かの手を借りたいと考える半数の若者に対して、就職活動やそのための支援を受けるという行動を躊躇させているのが、「人が怖い」56.8%や、「失敗が怖い」66.8%となっている。
社会学者の西田亮介氏は、共著「無業社会」のなかで、以下のように定義を付けている。
仕事に就きたいがどうしたらいいかわからなくなってしまっている若者で、そこから抜け出すことは自己責任である、という考えに対して、私たちの社会は合意と仕組みを持って手を差し伸べていかなければならない。