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河野デジタル大臣の本気度がわかる『フロッピー』と『CD-ROM』の廃止発言

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:デジタル庁

KNNポール神田です。

河野太郎デジタル大臣の就任以来、デジタル庁の情報発信が大きく変わってきている…。今回は、『フロッピーディスク』と『CD-R』だ。

いまだに使われている法令が1900条もあるということに驚いた…。

https://ja.wikipedia.org/wiki/フロッピーディスク

2000年がフロッピーディスクのピークなのでもうすでに20年以上の時を経て、形骸化している…いや、デメリットしかここには、存在していない。

□河野デジタル大臣は行政手続きの際、フロッピーディスクなどを使うよう規定する国の法令がおよそ1900条項あるとして見直す方針を明らかにしました。

□河野デジタル大臣:「行政に(書類などを)提出する際にいまだにフロッピーディスクで提出をしろと。今頃フロッピーどこで買えるんだというのもあると思うが、こういうものは早期に見直しする」

□デジタル庁は行政手続きの原則オンライン化を進めていますが、例えば建設業法では許可申請書をフロッピーディスクで提出するよう求めています。

□デジタル庁が調べたところ、国の法令のうち、およそ1900の条項で申請やデータの保存方法などとしてフロッピーディスクやCDーROMなどを指定していることが分かりました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/97ffcc3ab801a9a4eb07a17b1daf8d2eac3d248f

河野太郎デジタル大臣の初仕事として、『フロッピーディスク』や『CD-ROM』での手続き廃止の声明は非常に評価できると思う。デジタル庁の権限でどこまで法を変えられるかというよりも、DX化のための単なる『メディア媒体』を拡大解釈化し、『PDF等の電子ファイル』でも可能とすればよいだけではないのだろうか?。

すると法律を変えるのは、DX化に関するメディア媒体の法律を1本通し、デジタル庁にその権限をもたせれば良いという判断もできそうに考えられる。

筆者の周辺では、さすがに『フロッピーディスク』を求められることは少ないが、法人設立時における『電子定款』では、未だに『CD-R』に書き込んで、CD-Rの『円盤』ごとで法務局へ提出するよう求められていた。これも今となっては飯櫃な話だ。

■『紙』がなければ、印紙が貼れないので『印紙税』が不要に!

電子定款』となると、印紙を貼るための『紙』がないので収入印紙代の4万円が不要となるという、奇妙な力学で、定款に添付する印紙税4万円が不要となるから『CD-R』を選択する。そうか、紙がなければ収入印紙が貼れないので、不要という論理そのものがおかしいのだが…。

しかし、その浮いた4万円を使って、今となっては珍しい『CD-R』ドライブ搭載のPCをわざわざ買う羽目となった経験がある。また、近くのコンビニなどでも書き込み用の『CD-R』のディスクが販売されていないので、奔走することとなった。近くの大手電気チェーンでは一枚ではなく50枚セットのパッケージしかないので、50枚入りを買う羽目となった…。

また、オンライン化できる『登記・供託オンライン申請システム』も、『申請用総合ソフト』がWindowsにしか対応していない。さらに『.NET Framework4.8』のインストールが必要で…Windows8.1のOSの場合はブラウザはサポートの終了している『Internet Explorer 11』を使用?…と、なにかと謎のトラップが多すぎるのである。

カードリーダーやAdobeAcrobatなど電子署名ソフトなどもスマホとマイナンバーカードで代用できることばかりだ。

デジタル庁の予算でカバーしてもらいたいことは多々存在する。

『紙』を廃止することによって、『印紙税』なる収益は低減するが、『紙』をなくすメリットはむしろそれよりも多大だ。紙の最大のメリットは『目視』くらいだが、これは役所のディスプレイをもっと高精度にすれば解決すればよい。むしろ、『紙』につきまとう『管理コスト』は30年間以上はつきまとう。

■河野太郎とハンコ廃止

『押印』された『紙』が存在すれば、それを『確認』する作業。『保存』する作業。『保管』する場所。そしてそれらを『管理』する作業、そして、いつかは『廃棄』する作業までが発生する。印紙税もらったところでこちらのコストの法が多大だ。

河野太郎デジタル大臣は、2020年、菅政権での規制改革担当大臣の就任直後に、『ハンコ廃止』を訴えた。安倍政権のもとで行政改革担当大臣時代も構想していたという。

押印を求める行政手続きは1万1000種類余り、「給与所得者の扶養控除等申告書」は4,400万件に押印されている。「転入届」462万件、「不動産登記」444万件。

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/45909.html

ハンコをなくすことの経済効果や、フロッピーディスクやCD-R、PCのMacでも、どんなブラウザでも、スマホでも、『マイナンバーカード』一枚あれば、読み取ってすぐに申請できれば、どれだけ自治体や役所の作業が軽減されるかをこの機会に証明してみてほしい。

■空気を読まない、読めない河野太郎のデジタル庁の大改革

岸田総理と、総裁選で一騎打ちだった河野太郎氏。空気を読まない。空気を読めない気質は、デジタル大臣にとっては最高のポストだと思う。

デジタル庁でできることは大きい。大臣によって大きく変えられる可能性は多い。

デジタル庁が発足してから1年。2021円9月1日

まもなく4,720億円の令和4年度の予算が消える…。1日あたり12.9億円だ。

今まで、何人もの大臣が変わっても変えられなかったデジタル化の遅れ…。

菅義偉総理、平井大臣、石原デジタル監 、牧島かれん大臣

河野太郎大臣のデジタル庁のマイナンバーカードの取得のお願いでも、

マイナンバーカードのできることを明確に示し、地方公共団体への『国民からの働きかけ』を懇願している。これはいままでになかったメッセージだ。

国民が、どう具体的に各自治体に働きかければマイナンバーカードが便利に使えるのかも示唆していただきたいものだ。

デジタル庁のサイトのトップに掲載されている河野太郎デジタル大臣からのメッセージ。

https://www.digital.go.jp/

https://www.youtube.com/watch?v=WpadcgznQHo

国が制度を作っても、それを採択するのは、それぞれの『自治体』にあるという。

https://www.youtube.com/watch?v=s0tE8Y1fUhc

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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