台風18号 台風の構造変化と強風
大型で強い台風18号は17日午前、九州に上陸する見通し。台風は徐々に構造が変化し、温帯低気圧としての性質を帯びることから、広範囲で暴風となるおそれがある。
雲の形状から台風の今を知る
刻々と近づく台風18号。予想進路に目が離せませんが、台風の今を知ることも大切です。
こちらは16日(土)正午の雲の様子です。ちょっと専門的に説明すると、左側が赤外画像、右側が可視画像です。どちらも同じ時間の台風18号をみたものですが、雰囲気がだいぶ違います。
左側の赤外画像はテレビの天気予報でよく使われ、発達した雨雲ほど白く濃密にみえます。どうでしょう?台風特有の丸い形が崩れています。
一方、右側の可視画像は雲や地面で反射された太陽光をみたもので、低い雲もはっきりみえます。こちらは台風が渦を巻く様子がよくわかります。
このように赤外画像と可視画像で台風の見え方が違うときは台風の構造が少しずつ変化していることを示しています。
ウィンドプロファイラでみた台風の横顔
また、これは風の吹き方にも現れています。
上空の細かな風の様子がわかるウィンドプロファイラ(熊本)をみると、上空約3000メートルでは南東の風、上空約10キロでは南西の風が吹いています。上層と下層で風向きが違うことを鉛直シアーといい、台風が温帯低気圧に変化する過程で多くみられます。
台風18号は今後も、北東へ進み、17日(日)午前に九州に上陸する可能性が高くなっています。16日午後3時現在、台風はゆっくりとした速さですが、16日夜以降、徐々にスピードが速まるでしょう。
台風の動きが速まること、台風が温帯低気圧の性質を帯びることで、風の強い範囲が台風の中心部だけでなく、外側に大きく広がります。これは秋の大型台風にみられる特徴で、台風の進行方向の左側でも暴風となることがあります。
2004年の台風23号では長崎県の雲仙岳で観測史上最高の最大瞬間風速63.7メートル(北風)、広島県広島市で最大瞬間風速43.5メートル(北風)の記録的な暴風が吹きました。
台風18号の進路にあたる西日本はもちろんのこと、上記の2条件が重なる北日本は一層の警戒が必要だと思います。
年間雨量の1割超えは大雨災害の目安
ここでは風に的を絞った話をしましたが、もちろん大雨にも十分な警戒が必要です。すでに、宮崎県宮崎市ではこの一日で300ミリ近い雨が降りました。宮崎市の年間雨量は約2500ミリ、年間雨量の1割を超える大雨になると、土砂災害や川の増水など災害が起こりやすくなります。
17日(日)は西日本と東日本の広い範囲で雨が強まるでしょう。身の回りの人と声を掛け合いながら、台風への備えをしてください。
【参考資料】
気象庁:平成29年台風第18号に関する情報
西村修司,2005:衛星画像を用いた台風解析,第39回夏季大学 新しい気象学「台風・集中豪雨」テキスト,日本気象学会,69-87.
北畠尚子,2009:日本付近における台風の特徴,気象庁第1回講習会
【台風18号の情報や天気の見通しは16日午後4時現在のものです。】