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東京都心で積雪の可能性大 滞留寒気がカギ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
9日(土)夕方までに予想される降雪量(著者作画)

 東京都心でこの冬初の積雪となる可能性が高い。関東平野部に滞留寒気が形成され、9日は朝から雪となる見通し。北海道上空に流れ込んだ非常に強い寒気も影響しそうだ。

東京の日降雪量 10センチ未満が8割

 タイトル図は9日(土)夕方までに予想される関東地方の降雪量です。東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県では10センチ、東京23区は5センチと予想されています。

 東京で一日に降る雪の量(日降雪量)はどのくらいなのか、調べてみたグラフがこちらです。1961年から2018年まで、1月と2月に限っています。

【東京】日降雪量別の日数しらべ(1961年-2018年、1月と2月)著者作成
【東京】日降雪量別の日数しらべ(1961年-2018年、1月と2月)著者作成

 

 1センチ以上の降雪があった日は96日あり、平均すると1年に2日程度です。降雪量別にみると、1センチから4センチまでが最も多く、次いで5センチから9センチでした。10センチ未満が全体の約8割を占めています。

滞留寒気がカギ

 雪予想のポイントは上空から地上まで、雪が溶けずに降る気温であるか、見極めることです。

 こちらは9日(土)正午の関東地方上空500メートル付近の気温予想図です。目を凝らさないと見にくいかもしれませんが、図の中央右寄りが関東地方で、寒色は氷点下を示しています。

【予想】上空500メートル付近の気温予想図(2月9日正午、ウェザーマップ作画)
【予想】上空500メートル付近の気温予想図(2月9日正午、ウェザーマップ作画)

 

 東京都心でマイナス3度以下が予想されていて、ちょうどこのあたりは東京スカイツリー上部にあたる高さです。

 参考に、東京都心で積雪が23センチに達した日(昨年1月22日)と比べてみましょう。

【過去】上空500メートル付近の気温図(2018年1月22日午後6時、ウェザーマップ作画)
【過去】上空500メートル付近の気温図(2018年1月22日午後6時、ウェザーマップ作画)

 

 9日(土)予想図と雰囲気が似ています。どちらも地上から上空500メートル付近に留まる寒気=滞留寒気がはっきりしています。

北海道の記録的寒気も影響か

 8日(金)は北海道に非常に強い寒気が流れ込みました。午前9時、札幌上空1,500メートル付近でマイナス24.4度が観測され、1957年統計開始以来、最も低くなりました。

 北海道上空の気温を詳しく見てみると、上空6,000メートル付近までは平年と比べ低いですが、それより上は逆に、平年と比べ高くなっています。

北海道上空の気温を平年と比べた図(縦軸は高さを示す)2019年2月8日午前9時(ウェザーマップ作画)
北海道上空の気温を平年と比べた図(縦軸は高さを示す)2019年2月8日午前9時(ウェザーマップ作画)

 

 ひとことで寒気といっても、平年と比べると高さによる違いがよくわかります。今回は地上に近い所で寒気が強いことが特徴です。

 9日(土)朝、伊豆諸島付近で低気圧が発生し、雨(雪)雲が関東地方に広がるでしょう。さらに、低気圧が北海道に流れ込んだ非常に冷たい空気を引き込むため、降り始めから雪になる可能性が高いです。今後も、最新の気象情報にお気をつけください。

【参考資料】

気象庁予報部:大雪に関する関東甲信地方気象情報 第3号、2019年2月8日16時19分発表

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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