Early Noiseに選ばれた令和ポップの新星、シンガーソングライターTOMOOとは?
唯一無二の伸びやかなアルトボイス、繊細な感情を表現する言葉とメロディーが魅力のシンガーソングライター、TOMOO。ドープにたゆたうイントロダクションの芳醇さから心を鷲掴みにされた、ソウルフルな新作ラブバラード「Cinderella」の評価が高まっている。1番にサビの来ない独特なる構成のナンバー。自分自身の解放、ドラマティックな浄化の歌だ。サウンドプロデュースにBREIMENの高木祥太を迎え、ポニーキャニオン内のレーベル・IRORI Recordsからのリリースとなるメジャー3作目となる。
年始には、世界で4億5,600万人以上のユーザーが利用するオーディオストリーミングサービスSpotifyが、2023年に飛躍が期待される注目の国内新進アーティストを選出しサポートするプログラム『RADAR:Early Noise 2023』に選出。これまで、あいみょん、Official髭男dism、King Gnu、藤井 風、Vaundyなど様々なアーティストが同プログラムを通じて多くのリスナーと出会い、国民的なアーティストとして羽ばたいた。
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DX4OR8pnFkwhR
なお、3月17日には、ライブイベント『Spotify Early Noise Night #15』を東京・Spotify O-EASTにて開催。今回の選出アーティストの中からTOMOOが第1弾出演アーティストとして発表されている。
https://spotify-earlynoise.jp/
彼女が音楽シーンで発見された注目のきっかけは、2021年8月にデジタルリリースされた「Ginger」だろう。Official髭男dismの藤原 聡、幾田りら(YOASOBI)、Vaundyなど様々なアーティストから、その歌声や楽曲力を絶賛されたことで人気に火がついた。東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われたワンマンライブはソールドアウト。一気にオーバーグラウンドへと駆け上がった。
彼女の経歴を振り返ろう。1995年生まれ、東京都出身のシンガーソングライター。6歳からピアノを弾き始め、高校時代に、吉澤嘉代子やROTH BART BARONらを輩出したYAMAHA主催のコンテスト『The 6th Music Revolution』ジャパン・ファイナルへ進出。だがしかし、その後、彼女の才能がシーンで発見されるには時間を必要とした。この数年、ボカロ文化圏の躍進やパンデミックな状況など、従来のライブハウスで叩き上げていくシンガーソングライターが、付加価値を発揮しづらい時代であったかもしれない。
しかしながら、TikTokやYouTubeなど動画共有サービスの浸透により、たった1曲で大きなバズが生まれ、良質な作品が発見されやすくなった時代。だが、アーティストとしてファンベースを確立するには“いい曲”を立て続けにリリースし、リスナーの信頼を得なければならない。
TOMOOは、そんな壁を“いい曲”とともに乗り越えた。
人気チューンを耳にしていると、プリンスなどブラックミュージックやソウルミュージックのエッセンスを強く感じる。カラフルで繊細なコードワーク。パーカッシブなピアノ演奏を軸に生み出されるポップチューンや、感情にすっと溶け合う没入感高いバラード。そんな要素から、80年代の“EPICソニー・サウンド”の影響が垣間見えた。岡村靖幸、大江千里、そして二人がヒット曲を提供した渡辺美里の系譜だ。
本人が影響を受けているかはわからない。だが、僕がTOMOOサウンドに惹かれた理由のひとつだ。令和ポップを紐解く裏テーマなキーワードに“EPICソニー・サウンド”は見逃せないポイントだ。80年代当時、現在再評価されているニューミュージックやシティ・ポップなムーブメントのネクストを提示してJ-POPなる概念を、言葉が定まらない時代から確立した先見性ある音楽レーベル。それが“EPICソニー”というブランドだった。現在TOMOOが所属するIRORI Recordsも、レーベルとして影響を受けているかもしれない。
そう、エバーグリーンなメッセージやメロディー、歌声に酔いしれたい欲求。キラリと輝く情景描写と感情表現の絶妙さ。TOMOOは、時代が抱える不安を乗り越えていく期待感に、自ら信じる作品力の高さで答えてくれたのだ。
6月には『TOMOO LIVE TOUR 2023 "Walk on the Keys"』として、大阪・NHK大阪ホール、東京・NHKホールでの公演も控えている。下半期、国内音楽シーンの未来を占う大切なステージとなるだろう。
1月7日、名古屋・ボトムラインでワンマンライブ『TOMOO 1st LIVE TOUR 2022-2023 "BEAT"』を目撃したが、あらためてTOMOOは音楽がないと生きていけないタイプのミュージックラバーだと確信した。歌声のすごさとギャップある、独特なる間合いやMCセンスも愛らしかった。そして、やはり「Ginger」という名曲が持つ、時代を動かす高揚感に鳥肌がたったのだ。
来るべき日へ向けて、ライブ表現も日に日にブラッシュアップされ成長しているTOMOO。2023年の躍進に期待をしたい。
TOMOOオフィシャルサイト