強襲揚陸艦の取得を目指す日本海上自衛隊
8月29日に防衛省の平成27年度概算要求が提出され、その中に強襲揚陸艦の取得のための調査費用が計上されています。「水陸両用作戦等における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機能艦艇」とされています。
イメージ図はフランス海軍のミストラル級揚陸艦によく似た乾舷の高い艦が描かれ、飛行甲板上にはオスプレイやアパッチ攻撃ヘリコプターと思われる機体が描かれています。
実は「強襲揚陸艦」という呼称はアメリカ海軍の考案したもので、各国は同種の艦艇を様々な名称で呼んでいます。例えばフランス海軍はミストラル級揚陸艦の事を「指揮・戦力投射艦」と呼んでいます。日本海上自衛隊では揚陸艦の事は一律で単に「輸送艦」と呼んでいるので、この新しい「水陸両用作戦等における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機能艦艇」も輸送艦と呼ばれるのでしょう。
海上自衛隊の現行の「おおすみ」型輸送艦3隻は全通式の飛行甲板を持つ空母型の船形なので、一見すると強襲揚陸艦に見えますが、ヘリコプター用の格納庫を持っていないので国際的にはドック揚陸艦として認識されています。ヘリコプター用格納庫を持っていないのは日本国内での自衛戦闘を想定し、陸上基地のヘリコプターの中継点にする構想からでした。しかし海外での救援活動に派遣されるようになるとヘリコプター用の格納庫が無いことは整備や運用の面で使い勝手が非常に悪く、また3隻しかないために艦自体の整備ドック入りを考慮すると海外派遣が任務になると数が足りず、今回の強襲揚陸艦の新たな取得となりました。「おおすみ」型との大きな差は船体の大型化とヘリコプター用格納庫の有無になります。