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松坂圧巻7回ノーノーでも開幕アウト ソフトバンクの先発事情

田尻耕太郎スポーツライター
WBC組も合流してベストメンバーがそろった

4連続Kもあったが、打たせて取る新スタイルが確立

怪物が「ホンモノ」になった。

ソフトバンクの松坂大輔が3月25日、本拠地ヤフオクドームでの広島とのオープン戦に先発して圧巻の投球を見せた。

今オープン戦最長の7回、最多102球を投げて、赤ヘル打線をノーヒットノーランに抑え込んだのだ。

新スタイルがハマった。ボールを巧みに動かして打者のタイミングを外した。5回2死から6回終了までは4者連続奪三振をマークしたが、基本は打たせて取るピッチングだった。最速は142キロだったが、ほとんどが130キロ台。それでも打者に打たせないという、投手として最高の仕事をやってのけた。

異例のイニング途中修正にびっくり

ソフトバンクは無安打無得点リレーで勝利!スコアブックには「安打」を示す赤線がゼロ
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修正能力の高さが、やはり超一流の証だ。序盤は球が抜けて3回の先頭打者にはこの日2つ目の四球を与えたが、以降7回に降板するまではパーフェクト投球だった。

じつは3回2死一塁の場面、この回4人目の打者だった安部友裕の打席のときに、それまで投手プレートの一塁側を踏んでいたのを、突如真ん中あたりに変えたのだ。

松坂自身は「そっちの方が投げやすいかなと思ったので」とさらりと振り返ったが、試合途中に立ち位置を変えること自体が異例なのに、イニング途中というからさらに驚きだった。結局、降板するまでその位置から投げ続けた。

試合後にコーチが明かす

1週間後にはペナントレースが開幕している。このまま「中6日」でいけば、4月1日の開幕2戦目のロッテ戦(ヤフオクドーム)での公式戦先発に期待がかかるところだった。

しかし、試合後に倉野信次投手統括コーチが、松坂が開幕ローテの6人から外れたことを明らかにした。

開幕投手は和田毅で早々に決着。昨季9勝の東浜巨、同7勝の中田賢一もアピールを続けていた。

残り3枠を松坂を含むベテラン陣が争っていたが、ここまでのオープン戦はずっと不在だったWBCに出場した侍ジャパン組の千賀滉大と武田翔太はこの日合流した。佐藤義則投手コーチと高村祐コーチに2人の状態を確認すると「元気そうだった」との返答。オランダ代表のバンデンハークは23日にすでに合流していた。工藤監督のここ数日間のコメントを総合すると、この3投手を先発が一巡する開幕2カード目までに起用したいという思惑が見てとれていた。

工藤監督「苦渋の決断」

工藤監督はこの日の松坂について「ここまで来るのに時間がかかったが良かったと思う。これからに期待が出来るし、彼の新しいピッチングスタイルが出来たと思う」と話したが、その一方で「人数がいるので悩ましい。攝津君もしっかりと仕上げてきているし。投手コーチとも話をしていかなければならない。みんなでしっかり考えて、非常に悩ましいが苦渋の決断をしないといけない。総合的に判断する」とも述べていた。

また、松坂はヤフオクドームから帰宅する際に「もちろん残念ですけど、オープン戦が残り2試合の段階でローテが決まってないわけがない。試合前から分かっているつもりで投げました。先につながるようにと思って投げました」と淡々と話した。

今年のオープン戦は4試合に登板して18回3分の1を投げた。四死球は14を与えたが、被安打は4本しか許さなかった。この日を含め、とにかく打たれなかった。しかし、”平成の怪物”はファームからの巻き返しを図ることになった。

※取材を追加し、記事を一部修正いたしました。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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