Yahoo!ニュース

【丸亀市】8/25は「ビールとドイツ音楽を楽しもう」 ドイツ兵捕虜を思うイベントが4年ぶりに開催

ちぃちぃライター(丸亀市・善通寺市)

100年ほど前、丸亀市塩屋町にある本願寺塩屋別院に、ドイツ兵の捕虜が収容されていた話を聞いたことはありますか? 当時は「俘虜(ふりょ)」と呼ばれていたそうですが、塩屋別院にいた俘虜たちはビールを飲んだり、音楽を演奏する自由があったとのこと。当時に思いを馳せるイベント「ビールとドイツ音楽の夕べ」が8月25日、4年ぶりに丸亀城前の市民ひろばで開かれます。

コロナ禍を経て4年ぶりの開催

このイベントは16年目を迎えますが、2019年を最後にコロナ禍の3年間は中止されていました。今年はドイツのソーセージやビール、ワイン、パンなど16のブースが並びます。ドイツ料理が苦手な人にも配慮して、焼き鳥や焼きそばなど定番の屋台も登場します。

気になるドイツビールの種類は、ビットブルガー(ピルスナー)、ケストリッヒャーシュヴァルツ(黒)などが揃う予定です。物価高の影響を受けて、ビールの価格は値上げが見込まれています。

前回は800人ほどの人出で賑わった(画像提供:丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会)
前回は800人ほどの人出で賑わった(画像提供:丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会)

例年800人ほどで賑わうこのイベント。主催する「丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会」事務局長の篠原勉さんは、「今年は例年通りの内容です。ドイツと日本のビール、屋台の食事を楽しみながら、俘虜がいた歴史を知ってもらえれば」と話していました。

ビールを飲めたドイツ兵捕虜たち

収容されていた俘虜について、篠原さんに教えてもらいました。第一次世界大戦で、日本は中国領土内でドイツと戦いました。その際にドイツ兵4600人ほどが捕虜として捉えられ、日本全国12カ所の俘虜収容所に送られたそうです。

本願寺塩屋別院に収容されていたドイツ兵俘虜たち(画像提供:丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会)
本願寺塩屋別院に収容されていたドイツ兵俘虜たち(画像提供:丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会)

丸亀では、本願寺塩屋別院が丸亀俘虜収容所として使われ、3年5カ月に渡って324人が俘虜として暮らしました。収容所では、運動したり、ビールを飲んだりする自由があったと伝えられています。中でも、エンゲルというバイオリン奏者の活動が記録されており、俘虜でありながら楽団を結成し、丸亀で26回の演奏会を開いていました。

そんな歴史にちなんで、ビールと音楽を楽しむイベントが毎年夏に企画されています。

ドイル兵俘虜の楽団を率いたエンゲル(画像提供:丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会)
ドイル兵俘虜の楽団を率いたエンゲル(画像提供:丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会)

イベントの音楽に目を向けると、声楽グループ「瀬戸内ゾリステン」や丸亀市民吹奏楽団などがドイツ音楽を演奏します。ヨハン・シュトラウス2世の「シャンパンの歌」やシューマンの「献呈」などが曲目に予定されています。ドイツ兵俘虜の歴史を伝えるパネル展も設置されます。

8月25日はドイツビールを飲みながら、戦時下で異国・日本に収容されたドイツ兵俘虜に思いを馳せてみませんか。何気ない日常の一コマが、大切な時間に思えるのではないでしょうか。

前回の会場では、ドイツ兵俘虜を歓迎する言葉の横断幕が飾られた(画像提供:丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会)
前回の会場では、ドイツ兵俘虜を歓迎する言葉の横断幕が飾られた(画像提供:丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会)

基本情報
名称 : ビールとドイツ音楽の夕べ

住所 : 香川県丸亀市大手町2丁目2 丸亀市民ひろば

アクセス : JR丸亀駅から徒歩で10分程度(駐車場あり)
開催時間 : 午後6時半から午後9時(屋台は午後5時半から)
入場料 : 無料(予約不要)

電話番号 : 0877-86-6800(丸亀市綾歌総合文化会館内の「丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を辿る会」事務局)

公式サイト

ライター(丸亀市・善通寺市)

ヘルシーなごはん、そして、雰囲気を含めた「心地よい食体験」が大好きです。時には、知的な発信も手がけたいと思っています。香川県丸亀市・善通寺市での時間を楽しんでいただけたら嬉しいです。

ちぃちぃの最近の記事