JR善通寺駅や善通寺市役所に近いエリアに2023年10月、スパイスカレーの店が誕生しました。米穀店だった元店舗をリノベーションし、店名はそのまま「長谷川米穀店」と名乗っています。週替わりで２種類のカレーとチャイが楽しめるカレー店を取材しました。

「白米に合うスパイスカレー」

「コメはコシヒカリを使っていて、白米に合うスパイスカレーを研究しました。スパイスはふんだんに使っていても、辛過ぎないように気をつけているので、どなたにも食べてもらえるマイルドな味に仕上がっていると思います」

オーナーは、善通寺市の地域おこし協力隊員だった中川裕太さんです。昨年9月に協力隊員の任期を終え、カレー店を開きました。店作りは「多くの人に助けられて、やっと完成しました」と話します。４年半の任期中に出会った人たちが、さまざまなスキルやアイデアを提供してくれたそうです。

カレーは週替わりで２種類準備。中川さんが会社員をしていた大阪在住時に好んで食べていたスパイスカレーが原点にあり、「自分好みで、食べやすいカレー」を目指して試作を重ねました。

その週のメニューは公式インスタグラムで確認してほしいそうですが、これまでにココナッツチキンカレー、北インド善通寺チキンカレー、和風キーマカレー、和風ポークビンダルーなどを提供。２種類のカレーを楽しめる「あいがけ」と１種類のみ選択する「単品」のどちらかが選べます。あいがけ1300円、単品1100円です。

カレーと同じプレートに、野菜を使った４種類の副菜が盛られるので、見た目にもきれいで食欲をそそります。パクチーは使っておらず、水菜をトッピングしています。

カレー専用のオリジナルプレート

中川さんのご厚意で、カレー２種類を試食させてもらいました。まずは、ココナッツチキンカレーから白米と一緒に口に運びます。「確かにマイルドで食べやすい。チキンはとろけるくらいの柔らかさですね」というのが最初の感想。思わず「美味しい」という言葉も飛び出しました。

次に、クリーミーナッツキーマを味わいました。ナッツで独特のコクを出しているそうで、少し塩分のような辛さを残しつつも、その名の通りクリーミーな味わいでした。

白米の上には、和風スパイスドライキーマがトッピングされているので、「あいがけ」を選べば、実はカレー３種類を味わえます。複数の味を楽しみたい人には、なかなかお得ですね。

カレーの器は、高松市在住の陶芸家、野口二朗さんに制作を依頼。中川さんは「カレーをすくって食べやすいように」というリクエストを出したそうで、プレートの底が少し湾曲しています。食べやすさの心配りを感じられると、嬉しいですね。

ドリンクは、２種類のチャイから選べます。甘過ぎないので、スパイシーなチャイを飲んで「あたたまってほしい」と中川さんは話していました。ほっとするスパイスチャイが400円、ジンジャースパイスチャイが450円です。

「人と人が出会う場所になれば」

店内は、中川さんの妻、昌美さんの祖母が営んでいた米穀店の雰囲気が残っています。机や椅子の一部、家財やランプは祖母が使っていたものをそのまま使用。リノベーションに合わせて、カウンターや本棚は作ってもらったそうです。カウンターに並んでいる椅子は、フランスの学校で使われていたものらしいので、一度座ってみたいですね。

中川さんは人と会話するのが大好きだそうで、「店が忙しくない時間帯は、食べに来てくれた人との会話を楽しみにしています」と話します。協力隊員だった頃に仕入れた「善通寺のおすすめスポット」なども教えてもらえるそうです。「人と人、そして、人と情報が出会うような店に育てていきたいです」と話していました。

また、中川さんは演劇が好きで、四国学院大の演劇集団を応援しているとか。店内には、フライヤーが置いてあるので、中川さんのオススメ情報をチェックしてみるのも一つの楽しみになりそうです。

最後に、ミニ情報をひとつ。善通寺市内の雑貨店「ZAKKA カガラカン」の山本哲哉さんと中川さんの２人で近々、ポッドキャスト「善通寺ラジオ」を始めるそうです。善通寺のユニークな人を紹介したり、取り止めのないおしゃべりを楽しむような内容を予定しています。

「世の中、暗いニュースが多いですが、足元の暮らしの中には楽しいことや素敵なことが実はたくさんあります。そんなところに目を向けて、『日常を楽しみましょう』というようなメッセージを発信したいです」

中川さんが心を込めて作ったスパイスカレー、そして、店主や友人とのおしゃべりを楽しみに訪れたくなるカレー店。営業日は今のところ週３日なので、「木・金・土はスパイスカレー」と覚えてくださいね。