LINEスコアにおける承認欲求のかたち LINEがめざすミライ #LINECONF
KNNポール神田です。
2019年6月27日(木)LINEがLINE Conference2019を開催し、膨大な新サービスを発表した。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2784
発表されたサービス一覧はこちらだ…。
ダイジェスト記事はこちらが見やすい…
http://line-hr.jp/archives/53498690.html
■4時間超えの怒涛のサービス発表のラッシュ…
4時間あまりに及ぶLINEの壮絶な怒涛の発表ラッシュ。こんなにも一度に発表しなくても良いのにと思うほど…。すべてを記事にするよりもそこから見えてくるミライのカタチを解説したいと思う。しかし、圧倒的なまでのサービスの開発スピードであるとともに、オンラインとオフライン、そしてファイナンスとエンタメという点在していたサービス事業が、見事にコンバージェンスしていく様が垣間見えた1日であった。
音声メディアVoicyの『KNNニュースチャンネル』でも音声レポートしている
https://voicy.jp/channel/885/50068
しかし、常にLINEの下部には、使っていないサービスがいっぱいである。ここにさらに今回の発表分が追加されるとなると、サービスを知ってもらう努力を、発表する努力以上におこなわなければならないだろう…。
■今日から見える自分の価値『LINE Score』
LINE Scoreとは…15の質問に答えることによって、LINE Scoreの評価が決まる仕組み。100〜1000の間でスコアリングされる。スコアリングのアルゴリズムは非公開。すでに、2019年6月27日から開始となっているのでトライしてみた。
最初の評価は 144だった。質問の途中でアプリが落ちたりしてそのままだった…。
しばし、時間をおいて、公式ブログのリンクからたどり、質問に答えると、644のスコアへと上がった!
http://linescore-blog.line.me/archives/17811094.html
■LINE Scoreで626スコアがあると、最大4%還元
LINEにも、楽天カードのダイヤモンド会員のようなランクアップのしくみがあり、『マイカラー』と呼ばれている制度がある。今ままでは、月あたりの決済金額によってポイントの還元の付与率が変化していた。つまり、Line Payで毎月、決済していないとランクは上がらなかった。そして、1%還元(ブルー)を維持するためには最低5万円以上、2%還元(グリーン)では最低10万円以上の決済が必要であった。
しかし、毎月1日の更新される『LINE Score』を基準に午前10時にマイカラーが判定されるようになった。実質の決済金額ではなく、LINE Scoreの評価によってよってマイカラーのポイント還元の付与率が変化するようになった。626スコア以上あると、毎月5万円以上の決済をすることなく、最大4%のポイント還元がなされるようになった。 ※6月30日までのスコアリングで、7月1日10時より7月のマイカラー判定に反映される。
■LINE Scoreが726以上でグリーンカラーで最大5%のポイント還元率
・グリーン(スコア726~1,000): お支払いのたびに2%還元 さらにコード支払い時+3%還元 最大5%還元
・ブルー(スコア626~725):お支払いのたびに1%還元 さらにコード支払い時+3%還元 最大4%還元
http://linescore-blog.line.me/archives/17811094.html
このスコアリングは2%の還元率の違いというよりも、楽天の会員ランク同様に、ステージアップを目指すための『モチベーション』という力学が強烈に働く思いを感じることができた。
現行のマイカラーのランク制度※2019年7月31日まで
http://pay-blog.line.me/archives/10928823.html
さらに、それを後押しするキャンペーンが開始されている。
■LINE Scoreを加速させる LINE Score公式ブログ
なんといっても、今回のLINE Scoreのユニークなのは、提携パートナーとともにキャンペーンを同日開始しているところだろう。
ブランドバッグのシェアリングサービスのLaxusとは、エルメスのバーキンとケリーが3ヶ月無料レンタル、カーシェアリングのAnyca
では5000円の割引クーポンなどを、LINE Scoreのスコアと連動したキャンペーンを開催している。
これは、シェアリングサービスを提供する側にとっても、スコアの信用度の高い人であればキャンペーン価格を適応させても事故率が低いと判断すれば大胆な価格が提示できることだろう。また、今夏から開始が予定されている金融サービスの『LINE Pocket Money』などは、このLINE Scoreに応じて、利率が変化する新たな金融査定システムとなるようだ。
つまり、誰もが一緒の料金ではなく、人によって、価格が変動するという新たな信用経済のカタチになろうとうしている。しかしながら、たった15の質問で、人の信頼性とその情報の正確性が担保されるかはまだまだ未知数だ。スコアをあげたいと思えば、人はよりジェントルになるのかもしれない。しかし、スコアを決定する権利がLINE Scoreにすべてあることは確実だ。
■スコアの前にあるコンセプトは『プライバシー保護』
今回の発表で、LINEで一体、何がスコアリングされるのか?と疑問は多いかもしれないが、LINE Scoreの15の質問のそれは金融機関と同様の質問で特にセンシティブであるとは思わなかった。普通に収入があり役職やポジション、持ち家なのか賃貸なのかという基本的な質問だ。しかし、それを裏付ける情報の提出は義務付けられていない。だからこそ、まずは性善説でユーザーの申告のままスコアリングしているような傾向がありそうだ。
気になるのは、LINEでのトークやグループなどのメッセンジャーにおいてのスコアリングだ。しかし、出澤剛社長は「グループやトークのメッセンジャーは評価しない、むしろメッセンジャーは暗号化されているので解読することすら不可能だ。それと同時に、LINE Scoreを使いたくない、個人を査定されたくない人にとっては、拒む権利がある。あくまでもスコアの前に重要なのはプライバシーだ」とオプトイン型のサービスであることを力説した。
『情報銀行』という個人スコアリングサービスについて、一歩先行くサービスを、ポイント還元やキャンペーンとすぐにヨコ展開できるのがLINE Scoreの強みであることが初日で理解できた。あくまでもオプトインなので、ベネフィットを得たい人だけが利用すれば良いというタイプのサービスだ。
しかし、はじめて航空会社のマイレージのクラスが上がる、あの自分のステータスが評価される喜びに非常に似ているところがあると感じた。同時に、英語のTOEICポイントのスコアのように向上させ、維持していきたいというモチベーションも湧いてきている。
LINEにとって、このスコアリングを与える力学は、新たな『信用経済のプラットフォーマー』として歩みだしたように感じた。人によって価格もサービスも変わる時代の幕開けだ。