日本代表シオサイア・フィフィタ、ライオンズ戦は「ライオンのメンタル」で。【ラグビー旬な一問一答】
前年度に天理大学ラグビー部の副将として大学日本一に輝いたシオサイア・フィフィタ(近鉄)は、6月8日まで大分での日本代表合宿に参加した。
12日には静岡・エコパスタジアムで、サンウルブズとの強化試合に挑む。キャンプ中の6日、オンライン取材に応じた。
以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
——学生時代から入りたかった日本代表に入った。順調に階段を上がっているようだが。
「大学生の頃に比べたら、この合宿で色んなことを学んでいる。スキルも成長しているんじゃないかと、僕のなかでも思っていますね」
——昨年サンウルブズで活躍していた。
「まだ代表では試合をやっていないので。ただ、自信はあります。去年のサンウルブズの時よりは自信があるんじゃないかと、僕のなかでは思っています」
——トンガ代表からのラブコールはなかったか。また、同代表へ入りたいという考えは。
「ないです!」
身長187センチ、体重105キロの22歳。かねてパワフルな突破を長所に年代別の日本代表で活躍してきた。2020年にはサンウルブズへ加わり、同チームが当時参加していたスーパーラグビーを経験。以後、身体を絞り、プレーの幅を広げた。
前年度も水面下で代表候補となり、今回は満を持しての初選出。6月26日にはスコットランド・エディンバラでブリティッシュ&アイリッシュライオンズ(B&Iライオンズ=※)とぶつかる。「ライオンのメンタルを持つ」と意気込む。
※B&Iライオンズ=イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの代表的な選手により4年に一度編まれる連合軍。毎回、南半球の強豪国を回っており、今年は南アフリカツアーを前に本拠地で日本代表と初対戦。
——代表合宿の印象は。
「絶対、きつい練習になると最初からわかっていた。メンタルの準備はできたので、どれだけハードなトレーニングになっても、自分がベストプレーヤーになるような努力をしないといけないとわかっている。もっともっと頑張らないといけないと思っています」
——1日3部練習もある合宿での手応えは。
「どれだけハードなトレーニングになってもスキル、理解力はあって。どれだけハード(な状況)になってもライオンのメンタルを持たないと、きつい合宿は乗り切れない。あとはラグビーに集中する」
——「ライオンのメンタル」とは。
「いつでも、ポジティブです。世界一のプレーヤーになるためにはそういうメンタルの部分も大事なので、頑張ってライオンになっています!」
タフなキャンプになるのはわかっていた。予めそう覚悟していたフィフィタはいま、「世界一のプレーヤー」になるべく常に「前向き」な「ライオンのメンタル」を築き上げたいという。
練習では、基本的な「スキル」の習得も意識する。
——ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる日本代表の難しさはどんな部分か。味方が蹴ったボールを追い、蹴り返されるやすぐに駆け戻る運動量が求められそうだが。
「そういうところが最初はきつかったんですけど、いまは大分、慣れてきました。体力のところとか。ウイングは結構、キックチェイスが多いので、結構、ハードですね」
——本職はアウトサイドセンターだが、代表ではウイングでプレーしているのか。
「そうですね。ウイングは4人しかいない(実戦練習では両軍に2名ずつ必要)。いまのところセンターに行く機会はないですね」
——自身のベストポジションは。
「僕のベストはセンターじゃないかなと思いますが、ここへ来たら何でもやるしかない。ベストな準備が大事じゃないかと思っています」
——ジョセフヘッドコーチやトニー・ブラウンアタックコーチからどんなアドバイスを受けているか。また、自らどんな課題を持っているか。
「スキルのところですかね。毎日、やっていますね。ブラウニー(ブラウン)が、スキルのところが一番、好きなので。パスとか、キックとか。シンプルなスキル(練習)をやっています」
防御をひきつけてパスを放る。鋭く仕掛けてオフロードパスを繰り出す。飛び出すタックラーの背後にキックを転がす…。ワールドカップ日本大会では中村亮土、ラファエレ ティモシーの両センターがかような「スキル」でトライを演出した。何より事前合宿で、これらの「スキル」の基本練習を繰り返していた。非公開練習時のフィフィタの様子も、おぼろげに浮かぶような。
——現代表はピッチ内外での「コネクト(繋がり)」を大事にしているようだが。
「とりあえず、(母国の)トンガの人たちだけじゃなくて、チーム全員とコミュニケーションを取っています。コミュニケーション、大事なので」
——誰と一番「コネクト」しているか。
「一番、繋がっているのは、ナキですかね! ナキといっつも一緒にいます」
——トンガ出身で、ワールドカップに2大会連続出場中のアマナキ・レレイ・マフィ選手。マフィ選手も、フィフィタ選手と「いつも一緒にいる」と話している。
「そうですね。学校(トンガカレッジ)の先輩で、リスペクトできる先輩。最初は怖かったですけど、すんごい、優しいんです! フフフフ!」
——アタアタ・モエアキオラ選手と一緒に日本代表でプレーしたいと思っていたようだが、今回、同選手は選外となった。
「僕らは(事前に)誰が選ばれるかはわからない。メンバー発表を見た時に『アタがいない。残念』と。一緒に入りたかったですけど、これで終わるんじゃなく、まだ時間はある(ワールドカップフランス大会は2023年)。戻ってくるのを楽しみにしています」
B&Iライオンズ戦へは「ワクワクしていますね」。希少性の高い一戦へ、「B&Iライオンズと試合をするのはこれで終わりかもしれないですし、チャンス。僕もその試合でメンバーに入れるよう、日々の練習で努力します」と意気込む。前哨戦となる今度の強化試合でも、存在感を発揮したい。