Yahoo!ニュース

SHINee・テミン 理想の自分に近づくために「もっとプレッシャーを感じながら勉強して、頑張る」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
「ソロでは、内面にある感情とか心の声とか、自分の深い部分を見せるように意識した」

2016年ソロデビュー。菅原小春と創りあげた「さよならひとり」のMVが、大きな話題に

画像

2011年の日本デビュー以来、日本でのツアー公演数は120、総動員数は約170万人、今年も東京ドーム2days、京セラドーム大阪2days公演で18万人を動員するなど、圧倒的人気を誇るボーイズグループSHINee。高い歌唱力と素晴らしいダンスパフォーマンス、一人ひとりのキャラクターの強さがひとつになり、そのライヴは観る者全てをハッピーな気持ちにさせてくれる。そんなSHINeeから最初にソロデビューしたのがテミンだ。2016年7月1stミニアルバム『さよならひとり』の表題曲のミュージックビデオ(MV)で見せた、ダンサー菅原小春と創り上げた、息を飲むような圧倒的なダンスパフォーマンスは、大きな話題となった。2ndミニアルバム『Flame of Love』では、さらに進化した姿を見せてくれ、11月28日にいよいよ1stフルアルバム『TAEMIN』をリリースして、アーティスト・テミンを“全開”。R&Bハウスなどの、最先端のサウンド、に親しみやすいメロディを乗せ、ハイトーンのボーカルを重ね、抜群の肌触りの音楽を作り上げている。このアルバムに込めた想いを、聞かせてもらった。

「初めてのフルアルバムなので、今までの、そしてまだ出していなかったテミンを全部出したアルバム」

初めてのフルアルバムということで、2枚のミニアルバムを制作するときと、心持ちや音楽に向き合う姿勢は違ったのだろうか。

Photo/上飯坂一
Photo/上飯坂一

「今までのミニアルバムは、アジアンテイストの曲が多かったと思いますが、今回はもっと色々なジャンルを含めたアルバムになっていると思います。そしてパフォーマンスも含めて、今までの、そしてまだ出していなかったテミンが、全部パッケージされている作品になっていると思います」。

このインタビューも通訳を介さず行い、アルバムの中でも、細かいニュアンスをちゃんと理解した、美しい日本語が印象的だ。鍛錬の積み重ねだと思うが、日本語が持つせつなさが、きちんと伝わってくる。

「嬉しいです(笑)。日本語は日本のアニメやドラマを観て勉強したりもします。でも正直に言うと、僕が正しい日本語を使うことができているのか、半信半疑ですが(笑)、日本のスタッフさんたちが丁寧に教えてくれるので、できているのかなって思います。日本語の歌詞が、韓国語で直訳されたもの見て、日本語の独特のニュアンス、言い回しの部分で、意味があまり通じないところは一つひとつ確認して、きちんと意味を込めるように意識しています」。

「普段聴いているディープな音楽を、そのまま作品に反映させると、いきすぎて難しくなる。聴いて下さるみなさんに理解してもらえないものはよくない」

アルバム『TAEMIN』は、これまでの楽曲が6曲と新曲が6曲で構成されている。どの曲も最先端のサウンドを上手く入れつつ、メロディは聴きやすくて、本人は普段「ディープな音楽を聴いている」というが、そこまでディープになりすぎていないところが、幅広いファン層から支持される理由のひとつなのではないだろうか。

1stフルアルバム『TAEMIN』(11月28日発売/通常盤)
1stフルアルバム『TAEMIN』(11月28日発売/通常盤)

「そうですね、前提として、聴いて下さるみなさんに理解してもらえないものは、よくないと思っています。できれば自分の音楽性がもっと伝わるように、印象的なメロディのものを選んだし、それを意識しながら作ったアルバムです。普段は、ハウスとかマイナーなメロディの、結構ディープな感じの音楽を聴くタイプですけど、たまにそういう感じが作品にも出ていると思います。でもいきすぎると難しくなるじゃないですか。そこはスタッフと相談しながら作っていきました」。

「新曲「MARS」と「HOLLY WATER」は、ライヴでお客さんと一緒に歌っているところをイメージした」

Photo/Takeshi Yao
Photo/Takeshi Yao

『TAEMIN』の中で、特に本人が気に入っている楽曲を聞くと、「「MARS」と「HOLLY WATER」です。この曲を選んだときから、ライヴでお客さんと一緒に歌っているところをイメージしました。みなさんと一緒にライヴを作りたいです」。

やはりファンとしては新曲が気になるところだ。この作品のために新たに撮影され、11月12日に公開された「Under My Skin」のMVは、早くも注目を集めている。9月からスタートしたソロツアーでも披露していて、そのメッセージ性のある歌詞が話題になっている。

「今回のMVは、今までスタジオで作ったものが多かったのですが、もっと自然の中で自然の景色を入れた画を撮影したかったので、とても満足しています。この曲は最初はもっと違う雰囲気の曲でしたが、メロディが好きになって、自分が伝えたいメッセージを入れた歌詞を作ってほしいと言って、テンポや雰囲気も変更しました」。

「もっともっと伝えたい気持ちがある。まだまだ勉強して、頑張らなければいけない」

今回のソロアルバムについての、他のメンバーの反応はどうだったのだろうか。そして、グループとして活動しているときと、ソロとして活動しているときのいい意味でのギャップは、どういう部分なのだろうか?

画像

「いつもソロの作品を準備するときは、メンバーにも相談しますが、今回はみんな忙しくて、僕も日本にずっといたので、相談したり意見を聞く機会がなくて…。でも12月にソロデビューするキーさんとは、相談しながらやってきました。キーさんが夢に出てくるくらい、僕まで緊張しています(笑)。ソロでやっているときは、SHINeeとして活動しているときよりも、もっとプレッシャーを感じているというか、SHINeeのアルバムはSHINeeを見せるアルバムじゃないですか。でもソロアルバムは僕を見せるアルバムなので、内面にある感情とか心の声とか、自分の深い部分を見せるように意識していますが、やっぱりまだ足りない自分を感じて、欲が出てしまいます。これが初めてのフルアルバムで、次のアルバムはもっといいものを作らなければいけません。ソロツアーも、自分が言いたいこと、伝えたいことが本当に多いのですが、でもまだまだ伝えたい気持ちを、全部込めて話すことができていないです。もっとプレッシャーを感じながら、もっと勉強して、頑張らなければいけないです」。

「ライヴは、自分がこんなに愛されているんだということを、一番感じられる時であり場所。もっとライヴをやりたい」

画像

9月からスタートした初の全国ソロツアー「TAEMIN Japan 1st TOUR~SIRIUS~」は、26公演と追加公演6公演の合計32公演を行い、11月26日の武蔵野森総合プラザメインアリーナ公演で締めくくった。ダンサー・コリオグラファーの仲宗根梨乃と共に作り上げた、こだわりのテミンワールドに誰もが酔い、その圧倒的なパフォーマンスは、そこにいるすべての人を熱狂させた。

画像

「ダンサーのみなさんと呼吸を合わせ、意識を合わせて見せることに集中しました。ステージに上がる前にみんなでファイト!と気合を入れますが、それが本当に大事だと思っています。そしてステージの上からの景色を見てしまうと、忘れられないし、こんなに愛されているんだということを、一番感じられる時だし、場所です。だからライヴをもっともっとやりたいです」。

「もっと自分が想像する、“歌手・テミン”に近づきたい」

歌とダンスを日々追及しているテミンだが、昨年、Amazonプライム・ビデオ・オリジナル・ドラマ『ファイナルライフ―明日、君が消えても―』で、日本初ドラマ出演を果たし、松田翔太らと共演、役者デビュー。表現者として、役者という表現方法にも、これからは力を入れていくのだろうか。

「演技に関しては、まさか自分がやることになるなんて、という感じでした。でもそういう機会ができて、松田翔太さんと共演できるということで、頑張りました。完成したものを観ると恥ずかしくて、まだまだ足りないなと思いました。すぐに演技をする予定はありませんが、僕は歌手だから、今はもっと自分が想像する“歌手・テミン”に近づきたいし、誰が観ても、あれはテミンだというものを作りたいです」。

画像

子供の頃、マイケル・ジャクソンが歌い踊る姿を真似して、ダンスを始めたというテミン。その時の楽しさが忘れらないという。そして「ああ僕は一生踊っていたいと、知らないうちに考えていました」と、アーティストになろうと思ったきっかけを教えてくれた。「でも人は変わるから、いつか演技がやりたくなるかもしれないですけど、今はステージをやりたいですね」。

画像

才能あふれる、どこまでも謙虚で、どこまでもファンとメンバーを愛する心優しき表現者が描く未来は、強い光が差し、眩しいほどの可能性に満ちている。そう感じさせてくれる1stフルアルバム『TAEMIN』、そしてインタビューだった。

テミン オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事