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外国人観光客はまだ気づいていない「郷愁を誘われる穴場の温泉地」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

猛暑はまだ続くが、9月には暑さも一段落して行楽シーズンがやってくる。旅の予定は決まっているだろうか?

近年は温泉地にもインバウンドの波が押し寄せている。外国人に日本の温泉の魅力を知ってもらえるのはうれしいことだ。コロナ禍で苦しんできた温泉地にとっても、外国人観光客はありがたい存在だろう。

だが、外国人観光客が集中する温泉地は一部にかぎられる。3000もの温泉地が存在する日本には、まだまだ知られざる名湯が存在する。人気観光地のような華やかさはないけれど、日本人が郷愁を誘われるような鄙びた温泉地は、まだ外国人観光客が気づいていない「穴場」といえる。

そこで今回は、「郷愁を誘われる鄙びた温泉地」を5カ所紹介したい。

木賊温泉・湯ノ花温泉(福島県)

ともに奥会津にある鄙びた温泉地。周囲は昔話に出てくるような長閑な景色が続く。日本人なら懐かしいと思うような風景が目白押しだ。2つの温泉ともに、昔ながらの共同浴場が充実しており、とくに木賊温泉の岩風呂は、温泉が湧出する川床を利用した湯船で、足元から湧き出す新鮮な湯を楽しむことができる。新潟との県境も近く、車がないとアクセスしにくいロケーションのため、観光客で混雑するようなことはほぼない。

川渡温泉(宮城県)

鳴子温泉郷の一角を占める川渡温泉は田畑に囲まれたのどかな温泉地で、湯治場の素朴な風情が魅力。散歩をしていると、日本人なら「なぜかなつかしい」と思える風景に出合える。観光地として人気の高い鳴子温泉ほど、日本人の観光客も多くなく、静かなが時間が流れている。リーズナブルな湯治宿も健在で、ひとり旅や湯治の初心者にもおすすめ。うぐいす色の濁り湯も気持ちいい。

俵山温泉(山口県)

長門市にある素朴な温泉地。同じ市内にある長門湯本温泉は近年再開発が進んで注目されているが、俵山温泉は昔ながらの湯治場風情が今も色濃く残る。もともと湯治文化が根づいており、各宿に滞在する宿泊客は街の中心にある共同浴場(外湯)に通うのが俵山のスタイル。浴衣に着替えて宿から外湯まで小道を歩くのも風情がある。古き良き温泉の外湯文化を体験できる貴重な温泉地である。

日奈久温泉(熊本県)

昭和レトロな雰囲気が魅力の温泉街には、15軒ほどの旅館と2軒の共同浴場、日帰り専門の温泉もある。もともと湯治場の性格をもつ温泉地なので、華やかさはないが、静かで落ち着いた湯の街情緒を味わいたい人にはおすすめ。公衆浴場「松の湯」は昭和6年の開業で、レトロな雰囲気に郷愁を誘われる。泉質にこだわる人におすすめなのは「旅館幸ヶ丘」。現在は日帰り入浴のみだが、硫黄が香る源泉が大量に投入されており、気持ちいい。

松の湯
松の湯

下部温泉(山梨県)

山あいに佇む素朴な温泉地で、1200年の歴史をもつ古湯。ひっそりとしているが、どこか郷愁を誘われる温泉街はにぎやかさとは無縁。静かな温泉街は時が止まったかのよう。昔から湧く20~30度代のぬる湯が特徴で、温冷交互浴に励む湯治客も多い。源泉にこだわるなら足元湧出の古湯坊源泉館(宿泊のみ)がおすすめだが、他の旅館の多くで源泉かけ流しの温冷交互浴を体験できる。暑い季節におすすめの温泉地。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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