具なしラーメン、容器は使い捨て、現金NG… 画期的すぎる二郎インスパイア店の出現
「ラーメン二郎」。
港区三田に本店を構えるラーメン店で、1968年創業と50年以上の歴史がある。黄色い看板が目印で、連日行列を成す人気店。
濃厚な豚骨醤油スープに極太の麺、その上に盛られる野菜の山に大きな豚肉。値段は600円(2020年6月21日現在)。そのストロングスタイルな一杯は大変中毒性が高く、そのファンたちは“ジロリアン”と呼ばれるほどだ。
「ラーメン二郎」の人気はラーメン界でも一大ムーブメントになっており、「二郎」に影響を受けた“二郎インスパイア系”が出現したり、カップ麺、チルド麺などが各社から発売されたりしている。
濃厚でとにかく量が多く、値段も安いとあり、学生からサラリーマンまで絶大なる人気を誇る。
“二郎インスパイア系”でひときわ異彩を放つお店
そんな“二郎インスパイア系”のラーメン店で、ひときわ異彩を放つお店がある。
「かけラーメン まさ屋」だ。
2019年10月に蒲田でオープンし、今年4月には渋谷店、7月には池袋店もオープン予定と今勢いのある二郎インスパイア店だ。
ここの特徴は、「麺とスープだけに向き合うために他の全てを排除している」こと。特徴を挙げていくだけで、その特異性を知ることができるだろう。
メインは具のない「かけラーメン」
「二郎」の特徴である大盛りの野菜や肉はなく、麺とスープとノリのみという大変シンプルなラーメンを提供している。チャーシューはトッピングで乗せることができるが、野菜は一切ない。
値段が380円(並)と激安
麺とスープだけに絞っているので、値段がとにかく安い。「かけラーメン(並)」で380円。麺量も200gと十分な量だ。+100円で大盛りも注文可能である。
注文は注文票に書き込んで店員に渡す
麺の太さやスープの味、辛さ、トッピングなど全て注文票に記入する方式を採用している。
「二郎」ならではの煩雑な注文方法を排除し、わかりやすさを重視している。
容器はプラスチックで、レンゲ、紙コップなども全てが使い捨て
ラーメンの器までもが使い捨てであることに驚いた。全て使い捨てにすることで洗い物は一切出ず、ラーメン作りに集中できる。
支払いはクレジットカード、電子マネーのみで、現金NG
現金が使えないので、券売機もなく、店員が準備するカードリーダーを使って会計となる。釣り銭の準備は不要で、会計間違いが起こることはない。
ここまでの徹底したシステムはなかなか見たことがない。これは、とにかく安く、気軽にラーメンを食べられるように各所工夫を重ねた結果だそうだ。
筆者は今回渋谷店を訪れたが、
かけラーメン(並)醤油味 380円
チャーシュー 150円
計 530円
で食べることができた。
「まさ屋」は地域のラーメン戦争を勝ち抜くという考えだけでなく、ラーメンを全方位的に捉えた戦略を取っている。
「ラーメン二郎」のラーメン自体、既に低価格(三田本店で600円)だが、380円となるとカップ麺やチルド麺とも戦える価格帯となる。使い捨て容器については非難の声もあると思うが、それはコンビニのチルド麺も同様、全て使い捨てである(ゴミの問題は当然別途考える必要はあるが)。
お店で作った美味しいラーメンをカップ麺レベルの値段で提供するためには何を排除すべきか、それを極限まで考え抜いた形なのである。
「まさ屋」の取り組みは、その思い切りの良さから賛否両論出ると思うが、これからのラーメン店のあり方のヒントを示しているかもしれない。
※記事内の写真はすべて筆者による撮影