最低、最悪の尹錫悦大統領の「評価」 弾劾・罷免された朴槿恵元大統領よりも低い国民からの信頼度
故安倍晋三元首相の国葬の是非を巡っては賛否が分かれているが、各メディアの世論調査ではどうやら「賛成」よりも「反対」の声が多いようだ。
「反対」の理由については様々挙げられているが、国葬の是非を判断するデーターとして安倍氏と歴代首相の実績、功罪を比べてみた場合の世論調査があってもよさそうなものだが、その種の世論調査はあまり見受けられない。
韓国では日本と違い、この種の世論調査が頻繁に行われている。先日も時事週刊誌「時事IN」(9月15日号)が創刊15周年を記念して歴代大統領の信頼度に関する世論調査(8月19~21日)を実施し、その結果を発表していた。
信じ難いことにこの調査結果によると、大統領の座に就いてからまだ4か月しか経っていない尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の信頼度は歴代大統領の中では最悪、最低だった。通常、大統領就任の年は「ご祝儀」もあって支持率は高いものだが、驚いたことに国会で弾劾され、最後は罷免された朴槿恵(パク・クネ)元大統領よりも信頼度が低かった。
尹大統領に対する国民の信頼度を朴槿恵元大統領と文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の2人と比較すると、以下のようになっていた。(無回答を除く)
朴槿恵:「信頼している」49.8% 「信頼していない」20.9% 「普通」26.7%
文在寅:「信頼している」52.4% 「信頼していない」20.2% 「普通」24.5%
尹錫悦:「信頼している」25.7% 「信頼していない」57.9% 「普通」14.9%
これに李明博(イ・ミョンパク)元大統領を加え、就任年の4人の信頼度(10点満点基準)を比較しても、尹大統領は最下位だった。
李明博:4.31点
朴槿恵:6.59点
文在寅:6.67点
尹錫悦:3.62点
歴代大統領の信頼度に関しては国民から弾劾を突きつけられていた朴槿恵元大統領が2016年8月に記録した3.91点が過去最低だったが、尹大統領はそれよりも下回ってしまった。まさに、政権末期、レームダックに陥ったような数字である。
「時事IN」は尹政権の主な政策についての信頼度調査も行っていたが、経済政策については「信頼している」は33.1%しかなく、また「対北・外交安保政策」についても「信頼している」は35.1%にとどまっていた。
「経済政策」については与党「国民の力」支持層では73.7%が信頼していたが、野党支持層は2.5%、無党派層も25.7%しかなく、また「対北・外交安保政策」についても与党支持層は75%が信頼を置いていたが、野党は5.0%、無党派層は28.4%だった。
なお、韓国では大統領の評価、信頼に関する世論調査だけでなく、国家機関に関する信頼度調査もしばしば行われているが、尹政権下での国家機関に関する国民の信頼度は以下のような結果となっていた。(無回答を除く)
▲大統領室(大統領官邸):3.42点
「信頼している」14.0% 「信頼していない」57.9% 「普通」14.9%
▲国会:3.32点
「信頼している」12.2% 「信頼していない」59.8% 「普通」27.0%
▲大法院(最高裁):4.26点
「信頼している」26.3% 「信頼していない」40.0% 「普通」30.1%
▲検察:3.66点
「信頼している」25.9% 「信頼していない」54.7% 「普通」17.3%
▲警察:4.39点
「信頼している」22.9% 「信頼していない」43.4% 「普通」32.3%
▲国情院(情報機関):4.07点
「信頼している」19.8% 「信頼していない」43.1% 「普通」29.7%
▲国税庁:5.03点
「信頼している」33.8% 「信頼していない」28.6% 「普通」32.4%
▲監査院:4.40点
「信頼している」26.8% 「信頼していない」38.5% 「普通」28.8%
尹大統領の支持率は依然として30%前後で低迷しているが、政権を発足した年に4.31点と5点を下回っていた李明博(イ・ミョンパク)大統領の信頼度も翌年の2010年には4.97点と5点近くまで回復していたので今後の手腕次第では少なくとも上がることはあっても下がることはなさそうだ。