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2連覇ねらう藤井聡太銀河(19)新鋭・斎藤明日斗四段(23)を降して銀河戦ベスト8進出

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月18日。第29期銀河戦決勝トーナメント1回戦▲藤井聡太銀河(19歳)-△斎藤明日斗四段(23歳)戦が放映されました。棋譜は公式ページで公開されています。

 藤井銀河先手で戦型は角換わり。後手の斎藤四段は3三金型に組む趣向を見せました。

 藤井銀河がバランス重視の腰掛銀に構えたのに対して、斎藤四段は早繰り銀の速攻に出ます。斎藤四段はひるまず強気にストレートな攻めで切り込み、一気に激しい展開となりました。

 藤井銀河はいつもながらに正確に対応。手番を得たあと反撃に出て、優位に立ちました。

 斎藤四段は飛2枚を使って、藤井玉に迫ります。一手でも間違えれば藤井玉はたちまち奈落の底に沈むところ。特に早指しの本棋戦では逆転の余地もありそうにも見えます。しかし藤井銀河はまったく誤らず、きわどくしのぎました。

 83手目。藤井銀河は角取りに香を打ちます。もし角が逃げれば自陣の脅威が去って、相手玉は一手一手の寄せ。角を切ってきても自玉に寄りはありません。

 斎藤四段は攻防ともに見込みなしと判断し、ここで投了しました。

 藤井銀河はベスト8に進出。将棋史上最高勝率記録更新も期待される中、今後の結果がいっそう注目されそうです。

 藤井銀河は2回戦で佐々木大地五段(26歳)と対戦。両者の過去の対戦成績は藤井1勝、佐々木2勝。佐々木五段が勝ち越しています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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