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【土浦市】かつお節1袋300円!わざわざ買いに行きたい「ムトウ削節店」は削りたてが買える土曜が狙い目

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

幾度となく店の前を通っていたのに、まさか一般客に向けても販売しているとはつゆ知らずにおりました。

それが今回ご紹介する「ムトウ削節店」。

プロの料理人が絶大なる信用をおく風味豊かな削節が買える専門店です。

町の発展とともに川口に根付いた削節専門店

土浦駅西口より徒歩約6分。映画館の入ったビル「土浦セントラルシネマズ」へ向かう手前の路地に「ムトウ削節店」の建物があります。

「ムトウ削節店」は、昭和8年(1933年)創業で2023年に90周年を迎える削節専門店。

写真左の塚原有希博(つかはらゆきひろ)さんは、将来の店主を担う削り職人。現在は「削り見習い」の肩書で、先代たちが長年にわたって培ってきた技術を習得するために研鑽を積む日々。

お母さま(写真右)とともに店の看板を守っています。

お話を伺ってユニークだったのは、削り見習いの有希博さんの曾祖父にあたる初代店主の前職が豪華客船のオーケストラでバイオリニストとして活躍していたという経歴です。

「非日常の贅沢なひとときではなく、日常的に必要なものを提供していきたい」と音楽の道から一転、削り職人の道へ。

曾祖母の生まれ故郷であった土浦市に定住します。創業当初は真鍋に店を構えていましたが、新市街の祇園町の誕生に伴って現在の地に。

店内は入ってすぐの場所にショーケースがあります。

「かつお削節1袋ください」「本節で2000円くらいのものはありますか?」というように商品を見ながらお目当ての削節を購入することができます。

また、削節に精通した有希博さんやお母さまが目的や用途に応じた種類の提案もしてくれるので安心して買い物が楽しめます。

1袋単位で購入が可能。粉末タイプや本節も人気

プロの料理人も愛用する削節を私たち一般客も1袋から購入することができます。一番人気があるのは「削節(けずりぶし)」。さば削節(左)とかつお削節(右)があります。

かつお削節は1袋40g300円。写真ではビニール袋に入れた商品とジッパー付きの密封袋などタイプ違いの袋が存在してますが、いずれも40gが入っています(袋タイプはいずれかに統一される予定です)。

さば削節は1袋40g200円。私の個人的な感想としては、香りの豊かさではかつお削節が華やかで強く、さば削はパリパリとした食感が楽しいです。つまり…優劣つけがたいです!

かつおの本節も時価で販売しています。仕入れ時期によって前後はしますがおよそ100g75円。

一般客で本節を購入する人は少ないのかなと思っていましたが、ここ数年で自宅で過ごす時間が長くなって料理をする人が増え、「削るところから自分でやりたい」という方が増えているそうです。

乾物なので賞味期限が長く、1本あれば半年は楽しめます。

※鰹節けずり器は販売していません

最初に紹介した削節に見た目は似ていますが、こちらはより細かい削節が封入された粉削(こなけずり)。「さば(またはかつお)の粉末ください」という注文で伝わります。

さば節粉末(左)は45g230円、かつお節粉末(右)は45g300円。かつお節粉末にはコクを出すためにさば節が20%分含まれています。

拡大してみると削りが細かく、下の方に行くにつれて微粉になっているのが分かります。

粉末タイプはそのままご飯にかけて味わうふりかけやサラダのドレッシングとして活用してもおいしいです。

「ムトウ削節店」の削節のおいしさの謎に迫る

「ムトウ削節店」の削節は一度味わうと本物のおいしさを実感し、わざわざ買いに訪れたくなります。その魅力とはなんなのでしょうか。

毎週土曜日に行われているという削り節作りの現場にお邪魔して密着取材させていただきました。

原料となる節は、蕎麦屋やレストランなどのプロの料理人の御用達でもある東京の安倍鰹節より仕入れています。

「干してあげると花が開くようにふわっとするんです。削った時の香りも格段に違うんですよ」と有希博さん。

そう話しながら箱に並べ始めたのは、希少品としても知られる丸亀節。繊細ですっきりとした味わいが特徴のかつおの本節を数時間天日干しにします。

天日干しをした本節を削り機で削っていきます。

いかにも年代物という感じのする削り機は「鳥羽式」と呼ばれる動力型。大量生産ができる機械はステンレスの刃が一般的ですが、鳥羽式は超鋼刃を使用しています。

凸凹がなく均一に削ることのできるステンレスとは違い、節に傷をつけながら削る超鋼刃は節の個性によって削った時の表情が異なり、素材本来の味わいや香りを引き出すことができます。

削り機にかつお本節を差し込んで、花かつおができるまでを動画でご覧ください!

削っている最中から、芳ばしいかつおの香りが漂い始めます。有希博さんの言う、まさに「花が開いた」感覚です。

「鳥羽式」の削り器は現在製造しているところがなく、修理してくれる職人も少ないといいます。

ならば修理も容易なステンレスの削り器にしては?と思ってしまいますが、鳥羽式の削り器だからこそ守られてきた味を作ることができるのだそう。

「鋼をミリ単位で調整する細かな作業は大変ですし、作業中は目を離せません。手がかかるけれどそれがやりがいにも繋がっています。おいしい削節ができると達成感があります」(有希博さん)

ムトウ削節店の削節を使ったアレンジメニュー

「ムトウ削節店」の削節で出汁を取ると極上の味わいが楽しめますが、料理のアクセントとして活用するのも一案です。ここでは料理人でもある有希博さんに教わった、削節を使ったアレンジメニューをご紹介します。

【焼きおにぎり】

粉末のかつお節を醤油と一緒にご飯にまぶした後に表面を焼きます。焼きおにぎりに花かつおをかけることで風味が増します。

【粉末かつお節バタートースト】

ムトウ削節店のインスタグラムより
ムトウ削節店のインスタグラムより

トーストしたパンにバターと醤油をのせて和風に。意外な組み合わせですがこれがめちゃくちゃおいしいのです。

【和風パスタ】

ムトウ削節店のインスタグラムより
ムトウ削節店のインスタグラムより

パスタを推奨のゆで時間より1分早く取り出して、ゆで汁とオリーブオイルで炒めます。仕上げにパルミジャーノレッジャーノをかけて完成。パスタを盛り付けた後に花かつおと大葉、ゆで卵、追いパルミジャーノレッジャーノを載せます。

チーズの塩気とかつお節の風味や食感がたまらない一品です。

ムトウ削節店の削節は一度食べたらハマってしまうおいしさ。価格も手ごろなので最近は手土産で購入して喜ばれています。

料理のアクセントとしてもいいですし、私はおやつがわりにそのままパクパクといただいています。

海苔とかつおぶしをまぜて醤油を少し垂らすのもおいしいですし、ご飯に塩をかけてそのうえに粉末の削り節、さらに卵黄をのせたたまごかけご飯も絶品です。

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毎週土曜日は本節を削る日で、削りたてを楽しむことができます。

大量生産・大量流通ではなく、経験に培われた五感と手の感触にこだわって。

職人が作る削り節の味、食感をぜひ一度試してみてください!

<店舗情報>

ムトウ削節店

住所:茨城県土浦市川口1-11-28 MAP

電話番号:029-821-0804

営業時間:11:00~15:00

定休日:水・日曜(年末年始は休み)

駐車場:なし(近隣にコインパーキングあり)

支払い方法:現金

Instagram:mutou_kezuribushiten

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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