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最終日は野球教室で締めくくった丸亀のこぼれ話《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
野球教室で締めの挨拶をする望月投手。後ろで心配そうに?楽しそうに?見守る先輩方。

7月29日と30日にウエスタン・リーグの阪神-広島戦が開催された、香川県丸亀市の四国コカ・コーラボトリングスタジアム丸亀(丸亀市民球場)。昨年と同じカードで、ことしも黄色と赤色のユニホームに身を包んだ大勢のお客様が来られました。昨年との違いは、正面入り口の球場名の下や外野芝生席のフェンスなどにあった「START for MAJOR」という横断幕でしょうか。

通称・四国Cスタ丸亀は昨年オープンしたばかりで、3月にこけら落としとしてオープン戦の阪神-ソフトバンク戦があり、江越選手が第1号ホームランを放った…という話は昨年も書きましたね。そして7月末にウエスタン公式戦の阪神-広島戦が行われたことも。そのあたりはこちら、ちょうど1年前の記事でご覧ください。<丸亀で行われた広島戦のこぼれ話>

さて横断幕の件ですが、『START for MAJOR ~メジャーへの道はここから(丸亀から)始まる~』というのは球場のキャッチコピー。オープン時に発表され、こけら落としの試合でも横断幕はあったみたいですね。そのあと外されていたのを、ことし高校野球の香川県大会前から再び掲げたとか。「メジャー」はアメリカ大リーグを指すのではなく、英語で「主要な位置を占める」という訳もできる、そちらの方でした。

上が球場正面入口、下はライト芝生席の横断幕。
上が球場正面入口、下はライト芝生席の横断幕。
丸亀名物・骨付き鳥のマスコット『じゅうじゅう』は球場のあちこちに。
丸亀名物・骨付き鳥のマスコット『じゅうじゅう』は球場のあちこちに。

「高みを目指そう」「そこを目指す人を応援しよう」という気持ちを込めたと、丸亀市生活環境部スポーツ推進課ホームタウン推進室室長の村尾剛志さん。また、Movement(活気:野球場を拠点とした地域の活性化)、Amusement(楽しみ:娯楽性が高い魅力ある施設)、Just(適正な:丸亀市にちょうどよい規模、時代にあった施設)、Official(公式の:国際規格にも対応した本格的野球場)、Restoration(復興:野球王国の復活)の頭文字がMAJORとなっています。

なおキャッチコポーはプロに依頼せず、球場開設からずっと関わってこられた村尾さん自身の作品。「頭文字などは単なる、私のオヤジギャグみたいなものですけどね」と笑っていらっしゃいましたが、その思いはしっかりと伝わってきますね。お仕事としては球場の管理運営だけでなく、県立丸亀競技場を含む総合運動公園によるスポーツ振興やホームタウン活動の推進など多岐に渡っています。球場の事務所は『野球相談室』でもあり、いろんな方が利用されていると伺いました。

中学生のボランティアスタッフ

昨年と同じくスタッフの皆さんは、お揃いの黄色いタイガースロゴが入った黒Tシャツで、お手伝いに来ている中学生たちもしかり。彼らは昨年も違うメンバーが来ていたので、前出の記事でも触れているように『香川ベースボールアカデミー』所属の選手たちです。1年生から3年生まで、さらにOBの高校生も何人かいて、きびきびと動いていました。用具の出し入れやチームバスからの荷物運び、練習中は球拾いに片づけ、試合でもボールボーイと大忙し。

初日、仕事の説明を聞く『香川ベースボールアカデミー』の中学生選手たち。
初日、仕事の説明を聞く『香川ベースボールアカデミー』の中学生選手たち。
重しの砂袋(左)、トンボ(中)を運んだり、ケージ(右)を片づけたり。
重しの砂袋(左)、トンボ(中)を運んだり、ケージ(右)を片づけたり。
広島カープの投手だった天野浩一さんが現在の監督です。
広島カープの投手だった天野浩一さんが現在の監督です。

試合がなくて練習と野球教室だけだった3日目の31日も、朝早くから元気に駆け回っていました。2年続けて来た子はいなかったみたいなので、ことしも聞いてみたところ「阪神ファンです!」という意見がほとんど。でも巨人ファンもいましたよ、最後の最後まで口を割らなかったけど(笑)。阪神の中で好きなのは鳥谷選手、藤浪投手というあたりに意見が集中。これは昨年と同じです。

そうそう、練習が終わって休憩中のこと。スマホを手に1人で廊下を歩く梅野選手に話しかけられた選手が、あとで私に「僕、梅野選手のファンなんです!」と大興奮だったんですよ。でも本人には伝えられなかったみたいで。面と向かっては言いにくいでしょうね。せっかくだからと後を追ってみたものの、もう梅野選手の姿は見えませんでした。球場内の廊下にはポケモンがいなかったと思われます。

なお『香川ベースボールアカデミー』は、いわゆる“野球塾”。中学時代にここで野球を学び、チームワークを身につけ、卒業後は進学した高校で甲子園出場を果たした選手も多くいます。現在の監督は広島カープや四国アイランドリーグplus・香川の投手だった天野浩一さんで、子どもたちと一緒にグラウンドを走り回っておられました。同じ黒いタイガースのTシャツで。昨年もことしも相手がカープなので、このTシャツはかなり突っ込まれたと苦笑いです。

昨年に続いて夏の丸亀スピード対決!

丸亀スピードガンコンテスト!まずは久保田さん(左)と東さん。
丸亀スピードガンコンテスト!まずは久保田さん(左)と東さん。
ついで石川さん。後ろで見つめる2人も「おお~」と。
ついで石川さん。後ろで見つめる2人も「おお~」と。
ちょこっと参戦の栗山さん。気合いが少し空回りした?
ちょこっと参戦の栗山さん。気合いが少し空回りした?
サムズアップ!の右手が入りきらなかったけど、この表情で十分ですね。石川さん。
サムズアップ!の右手が入りきらなかったけど、この表情で十分ですね。石川さん。

30日の午後。選手たちが外野の芝生でウォーミングアップをしている時に、フリーバッティングで投げる打撃投手の久保田さんが投球練習をしていました。バッティングケージの手前では、次に投げるのか東マネージャーもキャッチボール。にしてはかなり力が入っていますね。やがて久保田さんと同じくマウンド付近へ移動。あ、思い出した!昨年もここであったんですよね、“スピードガンコンテスト”。

コンテストといっても3人くらいしか参加していなかったと思いますが、昨年の久保田さんは140キロが出ていましたね。東マネージャーも翌日に130キロが1球。ことしは140キロがなかったものの久保田さんが137キロで最速だったのは言うまでもなく、ついで石川サブマネージャー、東マネージャーという順番ですかね。正確な数字を覚えていなくてすみません。東さんは望月投手とのキャッチボールが効いたらしく「自分の中では130キロ出た」とのこと。

石川さんは130キロを超え、このところの減量が奏功してキレ具合もなかなかだったみたいですよ。戻ってくる時に少しドヤ顔で右手の親指を上げました。そのあと栗山通訳も何球か投げたんですが、思ったほど出なかったのかガックリ。また普段の練習日や試合前のフリー打撃など、毎日バッティングピッチャーを務めているブルペン捕手の本田さんも最後に投げたようです。数字は未確認ですが、1日に2度登板することもざらにある鉄腕ですから今後もよろしくお願いします!

少し離れて様子を見ていた筒井コーチは大笑いで、さらにベンチからは掛布監督のヤジも!それでまたムキになっているのが面白いんですよね。こういう時の男性陣って、ほんと“男子”のままだなあとつくづく思いました。

1試合こなしてから野球教室参加のチームも

ことしは29日(金)と30日(日)が18時開始のナイトゲームで、31日(日)は10時から練習をしてランチ休憩後の12時半頃から野球教室が行われました。

掛布監督の話を聞く選手たち。ユニホームが西武と楽天ですねえ。
掛布監督の話を聞く選手たち。ユニホームが西武と楽天ですねえ。
“横田先生”について歩く子どもたち。カルガモの親子みたい(笑)
“横田先生”について歩く子どもたち。カルガモの親子みたい(笑)
「ノッカーしっかり!」と子どもに突っ込まれた柴田選手は「捕ってから言え~!」
「ノッカーしっかり!」と子どもに突っ込まれた柴田選手は「捕ってから言え~!」
「いい体格だなあ」。奥の俊介選手(右)も見ていますか?
「いい体格だなあ」。奥の俊介選手(右)も見ていますか?
一緒にバットを持ってボールに当ててあげる横田選手。
一緒にバットを持ってボールに当ててあげる横田選手。

開始前にグラウンドへ出て、外野へ子どもたちを集めて話をした掛布監督。これはあまり見ない光景ですね。「道具を大切にしなくちゃダメだよ」といった内容で、そのあと一緒に準備体操もしています。グラウンドへ行きたかったお父さん、お母さんもいらっしゃるでしょうね。

普段より1時間早く練習を始めて炎天下の午後に野球教室をし、17時からナイターで翌日がデーゲームだった昨年の日程。さすが一番暑いこの時期だけに、相当きつかったですもんね。遠征先で練習と野球教室だけの日曜日というのは私も初体験ですが、とても画期的な日程です。

ただし野球教室は、日曜日で対外試合が組まれていたチームもあったのか昨年より少し少なめ。ことしは丸亀市、善通寺市、琴平町、多度津町の少年少女野球4チームから53人の小学生が参加しました。小さくて可愛らしい低学年の子、華奢なのに豪快な打球を飛ばす子、なんと171センチという長身のピッチャー、いろんな子どもたちがいます。どうしてもボールに当たらない子は、横田選手が一緒にバットを持って振ったり。

外野手のバッティング中、なぜユニホームが汚れているのかと聞かれた子が「試合してきたから」と。9時前に始まった試合を終えて、ここへやってきたそうです。結果を尋ねた選手(柴田選手と伊藤隼選手だったような?)に対して、同じチームの子たちが声を揃えて「負けましたぁ!」「コールド負け!」と報告。あまりに元気いっぱいだったもんで、みんなで大笑いしちゃいました。

バッテリーも打撃練習に励む

バッテリーのところへ行ってみると、人数も少なくて割と早めにピッチングとキャッチングが終わった様子。ピッチャー陣は芝生のところに集まって、望月投手を囲んで話を聞いています。この役目は一番若い投手がやらされ…いえ務めるものです。望月投手が「何か質問のある人」と言っても、何を聞いていいかわからないから誰も手を挙げず。やがて大人に促されて「速い球を投げるにはどうしたらいいですか?」という質問が出ました。定番ですね。

話をする望月投手を軽く放置していた先輩投手陣。ご安心を。これ、恒例です。
話をする望月投手を軽く放置していた先輩投手陣。ご安心を。これ、恒例です。
なぜか打撃練習が始まったピッチャーたち。しかも前から投げてもらって
なぜか打撃練習が始まったピッチャーたち。しかも前から投げてもらって
それも福原投手(上)や、高宮投手が相手って…すごすぎる!
それも福原投手(上)や、高宮投手が相手って…すごすぎる!
全員整列。170センチ超えの子はすぐわかりますね!
全員整列。170センチ超えの子はすぐわかりますね!
代表で挨拶をした子に、望月投手から記念品贈呈。
代表で挨拶をした子に、望月投手から記念品贈呈。

誰かに「じゃあ高宮」と指名された高宮投手は「いやいや、オレ速くないし」と素早く辞退(笑)。次の「コントロールをよくするには?」という問いも含め、筒井投手や二神投手、秋山投手らが代表して答えていたと思われます。結論としては、こんな感じでした。「すぐに球が速くなったり、コントロールがよくなったりすることはない。毎日の練習と、ご飯をしっかり食べること」

ところで、キャッチャー陣が退屈そうにしていたので聞いてみると「今の時代、キャッチャーも打てないとダメだってことで、みんなバッティング練習に行かせました」。な、なるほど。

質問コーナーの終わったピッチャー陣も、選手たちの「じゃあここもバッティングしよう!」という発案で、バットを取りに。でもティーバッティングをする設備はありません。誰かが「試合やるか、三角ベースで」と言い出してビックリしたんですけど、適当な距離から投手が投げて子どもたちが打つということに落ち着きました。福原投手に投げてもらって、もしかすると親御さんが感激だったのではないでしょうか。

野球教室の締めの挨拶は望月投手が担当。「きょう教えてもらったことを忘れずに、しっかり練習してください」という主旨で、特に詰まることもなくスムーズに言い終えたため、ベンチの中で聞いていた掛布監督から「え、もうおしまい?もっち―!」と声が飛んで、苦笑いの望月投手。お礼を述べる代表の少年には、誰かが「いい髪型だねぇ」と言って緊張を和らげていましたよ。こういうのって今成選手ですかね。

ヘイグ選手がうどん30人分!

最後に、ことしもたくさん用意していただいた賞品、2戦目の30日分をご紹介しますと

◆第1安打賞 うどん30人前 (麺処綿谷)・陽川選手

◆第1三振賞 灸まん 饅頭 (琴平町)・秋山投手

◆ホームラン賞 うどん30人前(麺処綿谷)・へイグ選手

◆勝利投手賞 シャインマスカットとピオーネ(多度津町)・秋山投手

◆勝利チーム 骨付き鳥(丸亀市)、お米10キロ(まんのう町)・阪神

ことしのポスター。「掛布さ~ん!」という声援は丸亀でも多かったですね。
ことしのポスター。「掛布さ~ん!」という声援は丸亀でも多かったですね。

となっています。もちろん29日にも善通寺市提供の讃岐もち麦ダイシモチそうめん、森永乳業(株)四国支店提供のTBCのサプリメントドリンク数種類などがありました。うどん30人前、ヘイグ選手はどうするんでしょう。寮で茹でてもらえば30人分なんて、あっという間かも。余計なお世話ですね。

なお昨年は丸亀らしきものを何一つ食べられなかったと記事に書いていますが、ことしは球場の売店で骨付き鳥を、そして2日目のお昼に讃岐うどんをいただきました!お世話になった皆さま、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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