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フィンランド選挙PRがなぜか日本語アニメですごい、退屈な政治を楽しんでほしい

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
「低投票率」の敵が若者の投票意欲を奪う Photo: Yle Kioski

ドラゴンボール、仮面ライダー、デスノート、ポケモン……。どのシーンが、どのアニメからインスピレーションを受けているか、わかるだろうか?

4月14日に総選挙を控える北欧フィンランド。若い有権者に投票を促すために作られたとある動画が、強い印象を残している。

フィンランドの公共放送が、SNSで拡散しているアニメは、登場人物たちが日本語で会話。

若者から投票する気力をなくさせる「低投票率モンスター」の登場。「信頼できるフィンランド」を維持するためにも、ひとりひとりが投票することが大事だと、各党の党首たちがモンスターと戦う!

公共放送YleのKioskiチームにお願いして、この記事に埋め込むために公式動画をYouTubeにアップしてもらった。

実は、公共放送がこのアニメをリニューアルして発表するのは、今回の選挙で3度目。

「最初は地方選挙があった時に、ジョークで、すぐに作ってみただけだったんです」と、アニメ動画を制作したマッティ・リータコルピ(Matti Riitakorpi)さんが、メールでの質問に答えてくれた。

「昨年、フィンランドで大統領選挙がある時に再びアップしたところ、FacebookとTwitterで非常に人気がでました」。

昨年のビデオはTwitterで71万5千回、Facebookで18万回の視聴数を記録。550万人の人口の国なので、とても嬉しい数字だったという。

先週の23日(土)にリニューアル版を出したところ、Twitterでは9万3千回という視聴数を出した。日本でどれほどの人に閲覧されているかは、わからないそうだ。

「アニメというスタイルを選んだ理由は、選挙は時につまらないから。退屈な選挙に、私が考えられる限りの突拍子のないものを混ぜれば、楽しいんじゃないかな、と思いました」

ポケモンやスタジオジブリ映画のファンは、フィンランドでも多い。そこで思いついたのが、ドラゴンボールスタイルのアニメ。

『ジョジョの奇妙な冒険』、『鋼の錬金術師』、リータコルピさんのお気に入りである『頭文字D』など、思いつく限りの要素をアイデアの源泉にしたという。

「記憶に残る、楽しくて短いビデオがあれば、選挙のことを話すきっかけになるのではと思いました。日本のアニメは世界中で人気があり、フィンランドでは過去20年間でその勢いが衰えません」

2015年の総選挙では、25歳未満の若者の投票率は半数以下だった。

公共放送Yleは、今年の選挙では、誰に投票しようか迷う若者をもっと手助けしたいと考えた。動画でも紹介されている、アニメが意識されたボット形式のメディアもリリースされている。

アニメをきっかけに、選挙のことを話題にする人は確かに増えそうだ。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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