ローマ教皇「食品を捨てるのは貧しい人々の食卓から食べ物を盗むのと同じ」
3泊4日の日程で来日していたローマ教皇が、2019年11月26日午前、東京都内にある上智大学の訪問を終え、イタリア・ローマへ向けて出発した。
2013年に就任したフランシスコ教皇は、今回が初来日だった。
「声を上げられない人の声を代弁する」
2019年11月26日付、朝日新聞デジタルの記事で
とあるように、全国各地の演説で、たくさんのメッセージを残した。
ローマ教皇「食品を捨てることは貧しい人々の食卓から食べ物を盗むこと」
2019年11月22日から12月20日まで、JR東京駅から徒歩圏内にある三菱一号館美術館で、ローマ法王来日記念「タリタクム」リサ・クリスティン写真展が開催されている。
そこで展示されているパネルに、ローマ教皇の、食品廃棄に関するメッセージがあると教えていただいた。
(世界の食料生産のうち、3分の1が捨てられています。食べ物を捨てることは、貧しい人々の食卓から食べ物を盗むのと同じことです)
「食品ロスを減らしても困ってる人にあげられるわけじゃないから無駄」という世間の声
食品ロスに関する講演や執筆など、啓発活動をしていて、よく耳にする声がある。
「食品ロスを減らしたからといって、食べ物に困っている人にあげられるわけじゃない」
という声だ。
「だから、たくさん作ってたくさん捨てるほうが経済合理性がある」と主張する人もいる。
11月25日に筆者が行なった講演では、「大量生産・大量販売が悪いといっても、大量に作るから低価格が実現できているわけで、大量に作らなければ、経済的困窮者が困ってしまうのではないか?」という質問も頂いた。
世界中の食料廃棄と食品ロスが仮に一つの国から発生していたなら・・・・
これは食品ロスの研究者の間でよく使われるデータだ。仮に世界中の食料廃棄や食品ロスが、1つの国から発生していると仮定すると、その温室効果ガスの排出量は、中国・米国に次いで、世界第3位の多さとなる。
JAICAF(ジャイカフ)が発行している「世界の農林水産」2014年夏号の特集、"Food Wastage Footprint: Impacts on
Natural Resources" (食料のロス・廃棄が環境に与える影響)には、次のように書いてある。
「世界は一つの家族」
前述のように、環境負荷をかけると、作物が育たなくなり、人々の食卓がより一層貧しくなる・・・ということもいえる。
また、今回のローマ教皇が残したメッセージの中には、地球に住む人々が一つの家族だと思う必要性を訴えるものもある。
(私たちは一つの家族だという信念を、より一層強く持たなければなりません)
いわば、倫理的、人道的な面から、食料を捨てることをいけないとするものである。
子どもたちに食品ロスをなくす大切さをどう伝えていくか
「なんで食品ロスがいけないのか?」という質問は、大人からも子どもからも受ける。
子どもたちが納得し、彼らの意識や行動に変化を起こすような説明を、われわれ大人ができるようにしていく必要がある。
ローマ教皇のメッセージは、2019年12月20日まで開催中の、ローマ法王来日記念「タリタクム」リサ・クリスティン写真展で、パネル展示されている。ぜひ、足を運んでほしい。