最年少五冠誕生の日となるか? 藤井聡太挑戦者(19)封じ手は銀取りの歩打ち 王将戦第4局2日目開始
2月12日9時。東京都立川市「SORANO HOTEL」において第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局▲渡辺明王将(37歳)-△藤井聡太挑戦者(19歳)戦、2日目の対局が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。
本局の立会人を務めるのは中村修九段です。1986年、若手六段だった23歳で王将戦七番勝負に登場し、名人・王座をあわせ持つ中原誠王将(当時38歳)に挑戦。3連勝のあと2勝を返されましたが、第6局に勝って4勝2敗(1千日手)でシリーズを制し、史上最年少で王将位に就きました。
若手が三冠を持つ王者に挑戦するという構図は中村新王将誕生のときと今期も変わりません。しかしその挑戦者が19歳四冠という点がおそろしいところです。
もし本局で藤井挑戦者が勝てば、史上最年少で王将位を獲得。また同時に、羽生善治五冠(1993年当時22歳)の記録を抜いて、史上最年少での五冠同時保持となります。
2日目朝。対局室には藤井挑戦者、渡辺王将の順に入室しました。挑戦者が先に部屋に入るのは、近年の慣習です。
両者ともに大橋流で駒を初期位置に並べ終えたあと、中村九段が声をかけます。
中村「それでは1日目の指し手を再現していただきます」
記録「先手・渡辺王将▲7六歩。後手・藤井竜王△8四歩。・・・」
渡辺王将が矢倉を志向したのに対して、藤井挑戦者は袖飛車から雁木の構え。途中まで前例はあるものの、早い進行で戦いが始まりました。71手目、渡辺王将が2筋に歩を垂らした局面で1日目が指し掛け。藤井挑戦者が72手目を封じました。
中村「それでは封じ手を開封いたします。・・・封じ手は△7六歩です」
藤井挑戦者は銀取りに歩を打ちました。予想の本命手。渡辺王将も十分に予期して、前日からその先まで読んでいたことでしょう。
渡辺王将は垂らした歩を成って、と金を作ります。これが角取りなので、藤井挑戦者は角を逃げます。
75手目。渡辺挑戦者は当たりになっている銀を逃げます。ここは強く打たれた歩を取る順も考えられました。この手を境に、コンピュータ将棋ソフトが示す形勢評価は、藤井挑戦者がわずかによしと示されています。
好機到来ととらえているのか、どうか。藤井挑戦者は手を止めて考えています。