台風20号が発生へ 大きな予報円の理由は?
台風20号が発生し、北上へ
グアム島近海にあった低圧部が昨夜23日(土)午後9時、熱帯低気圧に変わり、気象庁からこの熱帯低気圧が今後24時間以内に台風へ変わる見込みとの情報が発表されています。
この熱帯低気圧以外に、今のところすぐにでも台風へ変わる可能性のある熱帯低気圧はありませんので、もし台風となれば、今月半ばに日本のはるか南東の海上を通過した台風19号に次ぐ、台風20号ということになるでしょう。
発生が予想される台風20号は徐々に発達しながら北上し、予報円の真ん中を通ると、27日(水)から28日(木)にかけて北緯20度を越え、日本の南に到達した後、北東方向へ転向し、速度を上げながら29日(金)には強い勢力で小笠原諸島の父島付近に接近する見通しです。
29日(金)の予報円の大きさは、直径1400キロ(半径700キロ)もあり、もし西寄りのコースを通れば、本州付近にかなり近付いてくるようにも見えますが、実はこの予報円が大きくなっている理由は東西方向へのぶれが大きいのではなく、南北方向へのぶれが大きいためだと思われ、本州付近に近付いてくるような可能性はかなり低いのではないかと思われます。
大きな予報円の理由は?
上図は日本のアンサンブル予報を一部抜粋したもので、日本の南に点在している小さな赤丸は今後発生が予想される台風20号の中心付近の計算とみられます。
これによると、28日(木)午前3時には北緯20度を越えて計算はばらついてくるものの、まだ中心位置がなんとかまとまっている印象があります。
ところが29日(金)午前3時になると、この赤丸は小笠原諸島の父島付近を中心に南北に大きくばらついており、早いものではすでに日本の東、北緯35度付近へ到達している計算もある一方、遅いものではまだやっと北緯20度を越えたばかりという計算もあり、この差は1500キロ以上に達している状態です。
これは諸外国を含めても同様の傾向で、つまり今後発生が予想される台風20号の予報円が大きくなっているのは東西方向へのぶれというよりは、南北方向への速度のぶれが非常に大きいことを表していると思われます。
すでに日本の南まで偏西風(上空の強風帯)が南下しているために、これに早く乗るか遅く乗るかによって南北方向へのぶれがとても大きくなっている状態です。
逆に言えば、本州付近へ近付く可能性はかなり小さいものの、早かれ遅かれ、小笠原諸島に接近するおそれはかなり確度が高いのではないかと思われる状態です。
小笠原諸島は警戒が必要
上図は現在の予報円のほぼ真ん中を進んできた場合のコンピュータの計算結果です。
29日(金)には小笠原諸島の父島に強い勢力で接近する計算となっており、中心の接近具合や勢力によっては、最大瞬間風速が50メートル以上に達するおそれもあります。
小笠原諸島では来週後半、新たに発生が予想される台風20号の動向に十分な警戒が必要です。
また今のところ、本州付近へ近付く計算はほとんどありませんが、台風が通り過ぎるまでは、絶対こうなるということはありませんので、関東や伊豆諸島などでも今後の動きを注視して下さい。