次戦の相手は誰だ 井上尚弥のライバル候補は
ボクシング主要団体であるWBOから最新の世界ランキングが発表された。バンタム級4団体統一王者の井上尚弥(29=大橋)が、スーパー王者に認定された。井上は来年、スーパーバンタム級への転向を決めており、この階級で指名挑戦者となる権利を得ることとなった。
スーパー王者とは
WBOのスーパー王者は、他団体のタイトルも獲得した統一王者や10回以上の防衛を果たした選手に与えられる。
井上は13日にWBO王者のポール・バトラー(イギリス)と戦い、11回でKO勝利し、バンタム級史上初の4団体統一を達成した。その実績が評価されスーパー王者に認定された。
井上は来年、バンタム級から階級を上げ、スーパーバンタム級への転向を表明している。スーパー王座に認定されたことで、階級を上げてもWBOのランキングで1位にランクされる。そのため、次戦でいきなりタイトル戦の可能性もあるだろう。
階級を変更すると、減量は楽になるが相手の体格やパワーも上がるため調整に時間を要する。しかし、井上は以前からそれを見越し、長い時間をかけて肉体改造に取り組んできた。スーパーバンタム級に上げても充分に戦えるだろう。
スーパーバンタム級の王者達
現在スーパーバンタム級には下記の王者達が君臨している。
ターゲットになるのは、WBCとWBOのベルトを持つフルトンだろう。
フルトンは、21戦全勝(8KO)の戦績を誇り、2021年にWBO王者のアンジェロ・レオに勝利し王座を獲得した。
その後、WBC王者のブランドン・フィゲロアと王座統一戦を戦い、接戦の末に勝利。2団体統一に成功した。
ガードが低い右構えのスタイルとスピード、長いリーチが特徴の選手で、身長が169cmに対し、リーチは179cmもある。
減量苦から階級を上げることも示唆しており、次戦でWBCフェザー級暫定王座決定戦に出場する可能性もある。そうなると、現在保持している王座を返上しなければならないため、井上の対戦者候補からは外れる。
しかし、フルトンにとって井上との対戦はビッグチャンスだ。井上は前回の試合でキャリア最高額の3億円を超えるファイトマネーを稼いだといわれている。バンタム級でこの金額は破格だろう。井上と対戦すれば、世界的な注目と破格のファイトマネーが手に入る。
フルトンも2階級制覇より井上戦に魅力を感じ、しばらくこの階級に留まるかもしれない。
五輪メダリストアフマダリエフ
フルトン以外の対戦者候補として、WBAとIBFのベルトを持つアフマダリエフも挙げられる。
アフマダリエフは、リオ五輪で銅メダルを獲得しプロでデビュー。戦績は11戦全勝(8KO)とまだ少ないが、技術とパワーを兼ね備えたボクサーだ。
攻撃的なサウスポースタイルで、勢いのある選手だ。元IBF王者の岩佐亮佑と対戦し、5RTKOで勝利している。
戦った岩佐は「パンチも固くて重い。ディフェンスもパンチもスピードも技術もあって、今までで一番強かった」と話していた。
次戦はIBF1位のマーロン・タパレス(フィリピン)との指名戦が内定している。
対戦を熱望するカシメロ
また、ボクシングファンからは世界3階級制覇王者のジョンリル・カシメロとの試合を期待する声が多く聞かれる。
カシメロは減量苦を理由にスーパーバンタム級に階級を上げ、今月3日にWBO8位(当時)の赤穂亮とノンタイトル戦を戦った。
結果は、2ラウンドにカシメロが赤穂の後頭部を攻撃したとしてノーコンテストになったが、(その後カシメロの2回KO勝利に変更された)スーパーバンタム級を主戦場としてきた赤穂を終始圧倒していた。
パワーも増し、この階級でも十分に力を発揮するだろう。カシメロはバンタム級時代に井上との対戦が決まっていたが、新型コロナウイルスの影響で中止となってしまった。そのため、井上との対戦を熱望している。
一度流れた試合ではあるが、完全決着を望むファンの声も多い。対戦が決まれば盛り上がることだろう。
来年のスーパーバンタム級の中心人物は間違いなく井上だ。階級を上げたばかりのモンスターの前に、最初に立ちはだかるのは誰だ。