ルーブル美術館も一部閉鎖 フランス記録的大雨でセーヌ川が増水中
フランス・セーヌ川にかかるアルマ橋の橋脚に、「ズアーブ兵」という名の、いかにもヨーロッパらしい銅像が建っています。この銅像は街に景観美を与えるだけではなく、セーヌ川の水量を測る目安ともなっています。例えば、水が足まで来ていたら、川沿いの道路は浸水、水が太ももに達していたら、船の航行は不可能というようにです。
今、上の写真のように、セーヌ川の水位がこの銅像の太ももまで達しており、船が橋の下を通れず欠航、また一部で浸水も起きています。通常は2メートルほどの水位なのに、27日(土)には5.7メートルまで上昇したと伝えられています。水位は29日(月)にかけても上昇すると見込まれていて、セーヌ川周辺では、洪水の危険が高まっています。
美術館閉まり、ネズミも走る
増水により複数の地下鉄の駅が閉鎖、またルーブル美術館も低層階にあるイスラム美術品の棟が閉められています。
さらに、人々の健康への被害も懸念されています。というのも、巣が浸水したために地上に逃げてきた大量のネズミが市内を走り回っているからです。
ちなみに専門家の推測によると、パリ市内には人口の2倍に当たる220万匹ものネズミがいるようです。このため屋外にゴミを放置しないよう呼びかけられているということです。
増水の原因
セーヌ川の増水の原因は、今冬の大雨にあります。
フランス気象庁によると、度重なる低気圧と寒冷前線の影響で、12月1日からこれまでに降った雨の量は180ミリ以上に達し、この時期として史上3番目に雨が多くなっているということです。セーヌ川の水位は、29日(月)までに5.9メートルを超えると予想されています。
なおこれまでの水位の記録は、1910年1月に観測された8.62メートルで、この時は水が銅像の首まで上がったとされています。パリ市内は一面川と化し、2ヶ月ものあいだ水がひかなかったようです。
洪水リスク高まるパリ
セーヌ川は2016年にも6.1メートルまで水位が上昇し、洪水が発生しています。今回再び洪水リスクが高まったことで、その対策に向け迅速な対応が迫られています。
(参考:Travel France Online)