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出掛ける前からジャズ気分:新たな心象へ誘うヴィブラフォンのマジック(山崎ふみこ@JZ Brat)

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
山崎ふみこ“Departure!!”発売記念ライヴ
山崎ふみこ“Departure!!”発売記念ライヴ

山崎ふみこがセカンド・アルバム『Departure!!』の発売を記念してツアーを行なう。東京公演はそれに先立つもので、ピアノに1970年代から日本のプログレッシヴ・ロック&フュージョン・シーンで活動する“重鎮”難波弘之を迎えたスペシャルなものになるようだ。

山崎ふみこは、国立音楽大学打楽器科卒業後にジャズ・ヴィブラフォンに魅せられてプロ活動を始めたというユニークな経歴の持ち主。竹を使った創作打楽器の演奏集団“バンブーオーケストラ”に参加して2年ほどアメリカをツアーで回るなど、いわゆる“ジャズ畑”で一般的と言われるものとは異なる経験を積んでいることが、彼女の創作活動にも反映されている。2011年にリリースしたデビュー・アルバム『Here goes!』では、「元気玉」や「翁草」といったオリジナル曲に彼女ならではの“前向き”な音楽観や日本らしさを感じさせる“空気感”を表現して独自のスタンスを確立していた。

こうした山崎ふみこの“作風”には彼女が耳にして影響を受けてきただろう日本のフュージョン・シーンのサウンドが色濃く反映されていると感じることが多く、ファースト・アルバムでの河野啓三、セカンド・アルバムでの松本圭司というピアニスト&キーボーディストとの“距離感”の近さもまたそれを証明していると言えるだろう。

今回はその河野啓三や松本圭司にも大きな影響を与えたであろう難波弘之との遭遇で、山崎ふみこの作品がどのように異次元変動を起こすのかを楽しみにしたい。

●公演概要

8月28日(木) 開場 17:30/開演 19:30&21:00(入替なし)

会場:JZ Brat(渋谷)

出演:山崎ふみこ(ヴィブラフォン)、難波弘之(ピアノ)、田中晋吾(ベース)、齋藤たかし(ドラム)

===♪「antique」

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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