なぜレアルはチュアメニ獲得に近づいているのか?モドリッチ、クロース、カゼミーロの「後釜問題」と解決策
勝利のサイクルをつくるのは、簡単ではない。
今季の全日程が終了した。チャンピオンズリーグで、頂点に立ったのはレアル・マドリーだった。決勝でリヴァプールを下したマドリーが、クラブ史上14回目の優勝を成し遂げた。
マドリーはリーガエスパニョーラを制しており、ドブレテ(2冠)を達成している。カルロ・アンチェロッティ監督が復帰したシーズンを最高の形で締めくくった。
だが時は待ってくれない。2022−23シーズンに向けた戦いが、スタートしている。
マドリーはマルセロ、イスコ、ガレス・ベイルが契約終了に伴い、退団する見込みだ。一方で、補強に関しては、キリアン・エムバペがパリ・サンジェルマンとの契約延長を行い、再考を強いられている。
■トップターゲットを逃して
いうまでもなく、エムバペはマドリーの、フロレンティーノ・ペレス会長のトップターゲットだった。昨年夏の時点では、移籍金2億ユーロ(約260億円)のオファーを出して獲得に動いていた。
エムバペを逃して、現在、マドリーが狙っているのがオーリエン・チュアメニである。マドリーはボーナスを含めて移籍金8000万ユーロ(約104億円)でのチュアメニ獲得を目指している。アンチェロッティ監督が“直電”をして説得したという報道まで出ており、マドリーの本気度が伝わってくる。
近年、マドリーはルカ・モドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロが「盤石の中盤」を築いてきた。
「僕たちに終わりがこないというのは残念だね」と冗談交じりに語るのはクロースだ。
「真面目に話せば、このレベルでプレーを続けられるように、全力を尽くしている。僕たちは、それぞれ何ができて、何ができないかをよく理解しているんだ。それがすごく助けになっている。特に、ビッグマッチにおいてね。僕たちはそういったプレーに慣れている」
■盤石の中盤と変化
クロースが話すように、「CMK」と呼ばれる3選手は、阿吽(あうん)の呼吸でプレーしてきた。
ただ、今季、ここにフェデリコ・バルベルデとエドゥアルド・カマヴィンガが加わった。バルベルデは、この数年、目覚ましい成長を見せてきた。しかしながら、ジネディーヌ・ジダン前監督の下では、最終的にクロース、モドリッチ、カゼミーロからポジションを奪えなかった。
一方、アンチェロッティ監督はシーズン半ばからバルベルデを右WGで起用するようになった。この起用法が、バルベルデのプレータイムを増やし、なおかつピッチ上では年齢を重ねてきている3選手をバルベルデがフィジカル的にサポートする効果をもたらした。
カマヴィンガは、昨年夏に移籍金3100万ユーロ(約41億円)でマドリーに加入した。一時、適応に苦しんだものの、移籍一年目でリーガ26試合に出場。及第点のパフォーマンスを披露した。
「僕の人生で、美しい瞬間だ。世界一のクラブで、ひとつのサイクルを終える。悲しみはなく、喜びの感情がある。(チャンピオンズリーグという)世界最高の大会を制した。誇りを感じている。何度も素晴らしい夜を過ごさせてもらった。本当に感謝している」
「未来は明るい。若い選手たちがいるからだ。マドリー、万歳!」
これはビッグイヤー獲得後のマルセロの言葉だ。
そう、バルベルデ(23歳)、カマヴィンガ(19歳)、ヴィニシウス・ジュニオール(21歳)、ロドリゴ・ゴエス(21歳)、ルカ・ヨヴィッチ(24歳)、エデル・ミリトン(24歳)、アンドリュー・ルニン(23歳)とマドリーにはヤングプレーヤーが揃っている。
このリストに、22歳のチュアメニを加える。それがマドリーの算段だろう。チュアメニには、リヴァプール、パリ・サンジェルマンといったクラブも関心を寄せている。
エムバペを、逃しはした。だが次のシーズンに向け、すでにマドリーの手は打たれている。