携帯電話は自宅で多用…パソコンと携帯電話、インターネットにアクセスする場所の違い(2023年公開版)
パソコンは高機能だが機動性の点で今一つで、それは主流がデスクトップ型パソコンからノート型パソコンにシフトした現在でも変わらない。一方、その機動力の点で優れたスマートフォンやタブレット型端末が急速に普及しつつあるものの、総合的な処理能力の点ではパソコンに届かない。半ばそれぞれの端末が一長一短的な状態にある現在においては、どのような場所でどれほどまでに、各端末が利用されているのだろうか。情報通信政策研究所が2023年6月に発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から、パソコンや携帯電話などによるインターネットの利用状況について確認する。
次に示すのは、自宅・職場・学校・移動中の4項目に使用場所を区分した上における、それぞれの端末によるインターネットの平均利用時間を年齢階層別に区切ったもの(元の資料ではこの他に「その他」の場所区分があるが、今件では省略している)。また、今データは各年齢階層の全体比であり、利用していない人の平均利用時間はゼロとなるので、利用者そのものが少なければ、必然的に平均利用時間は短いものとなる。
平日は職場や学校にいる機会が多いことから、パソコンの自宅での平均利用時間は後述する休日と比べて短めの年齢階層が多い。職場では20代より30~50代の方が長い時間パソコンと相対していることになる。意外なのは10代・20代の学校での平均利用時間で、ほとんど利用している人がいないこと(学校におけるパソコンの利用の際にはインターネットは遮断されているケースもありうる)。20代は大学生における利用だろうか。さらに移動中のパソコンの時間がほぼゼロであることから、かつては結構な割合で見受けられたノートパソコンを利用しての移動中の作業をする人が、今ではほぼいないことが見て取れる(類似ケースとしてタブレット型端末の操作をよく見かけるようになったが)。
携帯電話は平日においては、自宅での利用が長い(以前の記事で取り上げた時間帯別利用傾向から見るに、多くは朝の出勤・登校時間前、そして夕食後就寝に至るまでの間に利用している)。おおよそ若年層ほど平均利用時間が長いのは、単に利用者における平均利用時間の長さだけでなく、利用率の高さも影響している。その観点では50~60代がやや長めなのは驚きだ。また移動中の利用は20代が一番長くなっている(とはいえ、ほとんど誤差の範囲だが)。
これが休日になると小さからぬ変化を見せる。縦軸の区切りの単位が平日とは異なっていることに注意。
ほとんどの年齢階層でパソコンの平均利用時間は平日より長い。また休日でも職場で利用している動きがわずかに見受けられるが、これは休日出勤の実情が見て取れる。たまたま調査日に出勤した、と思いたいが、日常化している人も中にはいるのだろう。
興味深いのは携帯電話の動向。平日だけでなく休日でも圧倒的に自宅における利用が多い。携帯電話は機動力の高さが買われて利用されているはずだが、実態としては自宅での利用が多分に及んでいることが分かる。機動力が高く移動中や移動先で使えるから、ではなく、移動中や移動先「でも」使えるから、携帯電話は評価されているのが実情のようだ。あるいは長時間の利用ではなく、断続的に、絶え間なく移動中に利用しているため、利用時間としてはカウントされにくいのだろうか。
機動力の高さは「自宅内での」運用のし易さとの点で特に重宝されている、そう考えると今結果も納得ができる。あるいは自宅内での利用は、単に電池切れを恐れての結果かもしれないが。
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※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。
調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。
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