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サントリー3連覇へ王手。延長戦への心構えは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
タフな試合後(著者撮影)。

 国内トップリーグで3連覇を狙うサントリーは、12月8日、同順位決定戦の準決勝(兼日本選手権準決勝)でヤマハに28-25で勝利(東京・秩父宮ラグビー場)。

 前半は13-22とリードされながら後半はわずか3失点でしのぎ、25-25の同点でサドンデスの延長戦に突入。マット・ギタウのペナルティーゴールにより勝ち越した。

 15日、秩父宮での決勝ではレギュラーシーズンで敗れた神戸製鋼とぶつかる。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

沢木

「皆さんお疲れさまでした。非常にレベルの高い試合で、ヤマハさんのああいうエナジーあるチームに対し、最後までしっかりと我慢できた。後半、特にリザーブメンバーを含めて(全員が)役割を遂行できたところは、次への自信に繋げられると思います。自分たちが目指しているところは、しっかり次のゲームで3連覇を獲ること。今日の試合は忘れて、来週からハングリーにチャンピオンだけを目指して準備していきたいです」

「ヤマハさんが素晴らしいプレーでタフなゲームになった。最後に勝ち切れたのはチームが強くなった証拠だと思います。ただ個人的には僕を含め判断、スキルで多くのミスをしていて、こういう展開を引き出してしまった。次に向け、パフォーマンスを上げられるようにしていきたいです。決勝で戦う神戸製鋼さんにはリーグ戦で1回負けているので、リベンジャーとしていい準備をして勝ちたいと思います」

――サドンデスの延長戦に突入。想定はしていたか。

沢木

「サドンデスで決着がつかなかった場合はコンバージョン(キックコンペティション)。その時のシミュレーションもしています。5人のキッカー(が必要で)、その時グラウンドに立っている選手でないと蹴られない。それはコーチ陣でしっかりとシミュレーションはしています。きょうはリザーブを含めたチームとしての勝利だったと思います」

――延長戦での心構え。

沢木

「ペナルティーしないこと、グレーなプレーをしないこと。ボールを持ったら保持し続けるという意識で戦っていました」

――延長戦は自軍キックオフで相手にボールを渡した。嫌ではなかったか。

沢木

「いやまぁ、どうですかね。あまりそこは考えてなくて、相手がボールを持つ分、フィールドポジションで自分たちが勝てる。ただキックのバウンドが変わって相手に入ってしまったのは想定外(自陣から攻め上がるヤマハがハイパントを蹴り、それをヤマハの選手が掴んだシーンがあった)。ただ、あれにもパニックにならずにしっかりディフェンスで来たと思います」

――後半3失点。ディフェンスについて。

「ディシプリンをしっかりしていればディフェンスできると思っています。オフサイド、ロールアウェーという自分たちでコントロールできるペナルティーはしないようにと声をかけ合いながらできていました。ヤマハさんは結構ボールを動かしていたのですが、それに対して勝手なディフェンスをせずに我慢強くできた。これを後半からできるんじゃなく、前半からやれれば一番よかったです」

沢木

「前半は淡白なところも出ていて、後半みたいなディフェンスができるんなら最初からやれよって思うんですけど、いいディフェンスだったと思います! 我慢強いディフェンスでした」

――その防御、ハーフタイムに何か修正をしたのか。

沢木

「ハーフタイムに特別、何か言うというより、今週トレーニングで意識したことをやりきるってだけです」

――前半と後半で、ボールの動かし方が違っていたような。

沢木

「後半からのプレーを前半からやるのがきょうのプランだったんですけど、ラグビーって難しい。そんな簡単に行ったら全部勝てると思うんですけど、しっかり自分たちのプランを後半からできたということは、修正能力も高くなっているんだと思います」

――3トライを奪った尾崎晟也選手について。

沢木

「まぁ、いいんじゃないですか。梶村(祐介)も3~4回、(相手センターの)タヒトゥアにぶっ飛ばされていたので、あれが1回くらいになったらジャパンのスターティングに入れるんじゃないですか。尾崎も才能がある選手なので、次のワールドカップに出られるようこのまま成長させていかなきゃいけない」

――神戸製鋼との決勝へ。

沢木

「神戸製鋼はボールを動かすようになってきて、いい10番、いい外国人もいて、去年より戦力はもちろん、チームとしても強くなっていると思います。ただ、サントリーとしては、神戸さんの分析もしますけど、もう1回自分たちのスタイル、やり方、今年1年間取り組んできたサントリーのラグビーをどれだけ出せるかにチャレンジしていきたいと思います」

――試合終了直後のテレビ用のインタビューで「神戸製鋼にはダン・カーターがいますが、サントリーにもマット・ギタウがいます」と仰っていました。ニュージーランド代表112キャップのカーター選手に対し、オーストラリア代表103キャップのギタウ選手が挑む構図。きょうのギタウ選手のプレーはいかがでしたか。

沢木

「見ての通りですよ。本当にインターナショナルのプレーをしてくれる選手。あとは本当、負けず嫌いなので。神戸製鋼には前回、負けている。次はもっといいパフォーマンスを出してくれると思います。きょうもよかったですよ」

 この日のサントリーは前半こそ防御のエアポケットを突かれたが、「パニックにはならなかった」とある選手。タックル後の素早い起立を徹底し、レフリングの傾向を踏まえて防御時の接点のボールへの絡みを最小化していた。前半終了間際には敵陣中盤中央のスクラムで相手の反則を奪っていて、別な選手は「レフリーとのコミュニケーションが取れた」と述懐した。運動量と順法精神が際立っていた。

 神戸製鋼はカーターの他にオーストラリア代表117キャップを持つセンターのアダム・アシュリークーパー、日本代表入りが期待されるフランカーのグラント・ハッティングら好素材を揃える。もっとも沢木監督は、かねてから再戦時のリベンジへの自信を口にしている。3連覇達成はなるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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