ノルウェー政府開設「難民さん、来ないで」Facebookページがヘイトスピーチで埋まる
難民の受け入れ態勢を厳しくするという姿勢を明確にしたノルウェー現政権は、6日(金)に新たな公式ページをFacebookに開設した。「ノルウェーでの厳しい難民規則 重要情報」というページは、あっという間に一部の国民による悪意あるコメントで埋まり、政府のソーシャル・メディア対策の不手際が批判を浴びている。
法務・危機管理省が公式ページの開設に踏み切った理由は、北部にあるロシア国境で、緊急の難民支援を必要としていないアフガニスタン人などの流入が急増しているためだ。すでにロシアで滞在許可証が受理されている大人などがノルウェーに渡った場合、母国へ強制送還される可能性があるうえ、本当に難民申請が必要な人々の登録に大きな支障がでる。そこで、ノルウェーの福祉制度に夢を抱いて渡ってくる人々を、少しでも減らすための対策として、デンマークがとった難民阻止のキャンペーンが参考にされた。
難民の申請条件を満たしていない場合は、強制送還される可能性を事前に英語で通告することが目的だったページだが、ノルウェー国民による難民を毛嫌いする掲示板となった。
「よくやった、ノルウェー!」
「今すぐにノルウェーから出ていけ」
「ノルウェーはバカンスの国じゃないぞ」
他にも、難民をユダヤ人や性犯罪者として扱うコメントなどが、ノルウェー語と英語で連投された。ページ開設の指揮をとった法務・危機管理省のアンネシュ・アーヌンセン大臣は、移民・難民政策に最も厳しい進歩党党員でもある。ページでは大臣を讃える意見も目立った。
9日、政府は緊急でフォロワーに自重を促す厳しいメッセージを投稿。しかしながら、増加するヘイトスピーチに対応しきれないことから、投稿内容に限らず、全てのコメントを今後24時間体制で削除すると発表した。しかし、その後も「本当に管理人が寝ずに削除してるの?」など、冷やかしでコメントする人が絶えず、数秒後に、政府側が投稿を手動で削除する「いたちごっこ」が続いている。
政府による公式投稿内容も、投稿後に大幅に内容が削除・修正されるケースが連続。通常であれば、民主主義や表現の自由を尊重するノルウェーだが、政府関係者が「国民の声」をところかまわず一斉削除するという奇妙な光景が続いている。政府公認のページがヘイトスピーチを助長する場となる事例は異例であり、現政権は汚点を残すかたちとなった。
今後も投稿を24時間体制で政府が手動で削除する体制こそ、なによりも人件費と税金の無駄遣いともいえるため、数日以内に公式ページがクローズされても不思議ではない。