NBA選手、本物の演技力
「見たか? フアンチョ、いい演技してるよな!! バスケファンじゃなければ、役者だと思う人もいるんじゃないか」
先日、米国の記者仲間から、そんな連絡を受けた。現在、NBAファイナルの真っ只中であるが、現役NBA選手であるフアンチョ・エルナンゴメスが準主役を務めるNETFLIXの映画『HUSTLE』が話題になっている。
確かな才能を持ち合わせながら、埋もれつつあるスペイン人プレーヤーを演じるのがフアンチョ・エルナンゴメスであり、うだつの上がらないフィラデルフィア・セブンティシクサーズのスカウトを演じるのが主演のアダム・サンドラーだ。
あまりネタバレしたくないので、ほどほどにしておくが、エルナンゴメスだけでなく、シクサーズの面々、そしてケニー・スミス、ボバン・マリヤノヴィッチ、アンソニー・エドワーズ、アーロン・ゴードンといった新旧のスター選手たちが出演しているところがファンにはたまらない。
確かにエルナンゴメスの演技はナチュラルだ。元々、そちらの素質にも恵まれていたのであろう。
ここで私が思い出すのは、2018年に公開された『Uncle Drew』でのカイリー・アービング、シャキール・オニール、ネイト・ロビンソンらの役になり切った姿だ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20181101-00102172
あるいは、1998年にレイ・アレンがデンゼル・ワシントンと共演した『He Got Game』である。
1998年の私は、アメリカに住んではいたものの、まだNBA取材をスタートしておらず、お恥ずかしながらアレンを「バスケットボールの得意な一人の俳優」と勘違いしていた。
しかし、冒頭の友人の言葉のように、俳優と錯覚するほどの演技であった。
ファイナルの熱戦の合間に、映画で選手の違った才能を目にするのも面白いのではないか。私にとって『HUSTLE』鑑賞は、かなり有意義な時間となった。お薦めである。