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外出自粛の影響で体重が激減するワンコも! 飼い主が注意すべき体調管理のポイントは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、飼い主はテレワーク。そして、子どもたちも学校が休校で、家族仲良くずっと自宅というケースもあると思います。ひとり暮らしの人でも同じように在宅勤務になり、犬とずっと一緒などのケースもあります。そして、ウチにはワンコもいるから、楽しく過ごせていると思っていませんか? 犬は何もしゃべれないけれど、そこに大きな落とし穴が?

4歳のチワワの体重が去年は3050g→今年は2250gに激減

犬にとって、今は狂犬病予防注射やフィラリアの予防薬のシーズンです。その予防接種にやってきた犬を診察して驚きました。これは、本当にあった話です。

「よく食べて、元気に動き回っています」と飼い主が言って、筆者はチワワを預かり診察を始めました。体重を測定したら、去年は3050gで、今年は2250gで800gも減っていました。激減です。約26%が減るとやはりよくないです。たとえば、50kgの体重の人がこの子と同じような割合で体重が減ると37kgになることになります。1年でこれだけ減ると危険なのは、理解していただけると思います。

なぜ、この子は体重が減ったか?

この犬の生活環境が激変していたのです。

・新型コロナウイルスが流行する前は、このチワワは留守番が多く、そのときは、ずっとケージの中で暮らしていました。

・ところが、幼稚園や保育所や学校が休みになり、子どもたちは、家にずっといます。

・この子は、子どもの傍らにいて一緒に遊んでいます。

・その結果、運動量が増えるし、睡眠時間が減ります。その上、以前と同じ量の食事しかもらっていなかったのです。

血液検査の結果

見た目は元気ですが、あまりの体重の減りようにびっくりして血液検査をしました。まだ4歳で若いのに、TP(総合タンパク質)が、正常値の低値で、5.2g/dl(正常値は、7~5g/dl)、もう少しで栄養失調寸前でした。

対策

犬は群れで行動する動物なので家族が揃ってめちゃくちゃ嬉しかったのです。それでハイテンションになりました。でも、ずっとテンションが高い状態が続くと、のちのち病気になりやすいので、以下のことに気をつけてもらいました。

・食事の回数を増やす。

チワワなどの小型犬は、胃が小さいので一度に量を多く与えると嘔吐することもあるので、回数を増やしてもらいました。そして、ト―タルの量を増やしました。

・遊ばない時間を作って、睡眠時間を増やす。

犬でも家族の人がいるから、嬉しい、嬉しいと興奮状態が続くとよくないです。ずっと交感神経支配が優位でいると、病気になりやすいです。やはり休息も必要ですね。

・体重をこまめに測定する。

特に小型犬は、体重が極端に減ると、低体重になり病気をする可能性が増えます(2kgを割ると要注意)。この例と反対に、家にいるから、とちょこちょことオヤツをあげすぎて、体重があまり増えるのもよくないです。適正体重を把握して、増減に気をつけましょう。

まとめ

家族が仲良く、そして犬も活発なのは一見、いいことですね。ひとり暮らしの人でも、犬とずっと一緒で楽しいですね。でも、上記のようなことを知らないと、犬が病気になったりします。この子は、事なきを得て、よかったのです。

いまの時期、飼い主がずっと家にいて、犬には興奮気味の子もいます。その辺りもしっかり観察して、人も犬も健康でいられますように心がけてくださいね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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