愛猫が「大好きだよ!」「なでなでして」。話題の猫語翻訳アプリで獣医師が飼い主に気づいてほしいことは?
猫の飼い主の間で話題の「猫語翻訳アプリ」を使ってみたら「愛おしさが爆発」や「思ったより態度デカメ」など楽しい投稿がSNS上であふれています。
それを見て、私も愛猫の気持ちを理解したという人は多いのではないでしょうか。そんなあなたに、より猫とコミュニケションを取る方法をお伝えします。
猫語翻訳アプリとは?
いま話題の猫語翻訳アプリとは『ニャントーク』(iOS版『MeowTalk Cat Translator』)です。愛猫の設定をして猫の声を登録して、修正を行いながらより猫の声から気持ちを理解しようとするものです。愛猫にカスタマイズされるところがこのアプリのいいところですね。
ニャントークは猫の鳴き声を11のムード(気分・気持ち)に以下のように分類しています。
□防御
□戦闘
□怒り
□幸せ
□狩り
□交尾
□ママ・パパを呼ぶ
□体調不良
□休息
□注意を払ってほしい
□警告
これだけなら「うちの子の複雑な気持ちがわからないかも」と思っている人がいるかもしれません。上述しているように、このアプリは愛猫特有の言葉を認識するよう学習させることが可能なのです。
うちの子は食欲旺盛なので、私が台所に立つとすぐに「ごはんがほしい」と鳴くと思う方は、そのようにアプリに学習させることができるのです。
猫語翻訳アプリで思い出したことがあります。それはいまから約20年前、株式会社タカラ(現・タカラトミー)が発売していた『バウリンガル』というものがありました。それは、本体と犬の首輪に装着するワイヤレスマイクから構成されたものです。
それが画期的な犬のコミュニケションツールでした。なお、猫向けに『ミャウリンガル』という姉妹品がありました。
猫語翻訳アプリを使う利点は?
以前なら、猫がなにを要求しているか深く考えなかったけれど、猫語翻訳アプリを使うことによってより猫の気持ちを理解しようとする人が増えたそうです。
たとえば、猫語翻訳アプリを起動すると、どうも「体調不良」や「注意を払ってほしい」などがたくさん出たので、動物病院に連れていくと「歯周病」が見つかり事なきを得たということもあります。
それ以外には、猫と遊ぼうとしていたら、「休息」などの翻訳が多く出たので、こんなに猫はリラックスしたがっていることがわかり寝かせたということもあります。
いままで気づかなかった猫の鳴き声から猫の気持ちの理解が深まり、猫にとっても快適に暮らせます。
猫語翻訳アプリが使えない猫はいるのか?
この猫語翻訳アプリは、猫が鳴くことで気持ちを理解するものです。猫の中には鳴かない子がいます。鳴かない猫は耳が聞こえない可能性が高い猫です。以下の猫は先天的に耳が聞こえない可能性があります。
□毛並みがまっ白
少しでも黒の毛が混じっていれば、大丈夫なことが多いです。
□両目が青い
片方がオレンジの猫なら、大丈夫なことが多いです。
猫の耳が聞こえるかどうかは、わかっていない飼い主もいます。うちの子の鳴き声を聞いたことがないという人の飼っている猫は、ひょっとしたら耳が聞こえていないのかもしれません。次は猫の聴力検査の仕方を解説します。
簡単な聴力検査とは?
方法はいたって簡単です。
猫が見えないところで、音を出してみることです。筆者は診察室で猫を診ているときに、スタッフが違う部屋で物音を立てるとその猫がどのような行動するかで、聞こえているか判断します。もちろん、体調の悪いときや極度に緊張しているときに、音に反応しないこともあります。繰り返しやるとわかってきます。
音を出したときに以下のような反応をしなければ聞こえていない可能性があります。
□耳を折りたたむ
□音が出た方に耳をむける
□音が出た方に顔をむける
□あまり大きな音だと体を小さくする
などです。大きな音なのに動作を変えない場合は、かかりつけ医に相談してくださいね。
耳が聞こえにくい猫を飼った場合は?
室内飼いの猫は、耳が聞こえないとわかっても飼い主がそのことを理解してあげると、それほど問題ではなく暮らしています。
猫は、ひげが発達しているので、微妙な振動の変化も察知できます。飼い主は、言葉でコミュニケションを取るところを身振りなどの視覚に使い、愛情表現は優しく撫でるなどの接触をしてあげてくださいね。
猫語翻訳アプリをよりよく使うために
耳が聞こえる猫であれば、幼いうちから飼い主がよく話しておくと猫も鳴いて答えてくれるようになります。動物病院でも「ママの方を見て、なにも痛くないから」と飼い主が猫に話しかけていると「ニャーア」とか細い鳴き声で答える猫も多くいます。
猫語翻訳アプリは、猫がより鳴いて気持ちを表現してもらい活用するものなので、鳴き声のバラエティーを増やしてあげましょうね。
猫がやたら最近、鳴くのは?
以前、うちの子はあまり鳴かなかったのに、最近、よく鳴くという飼い主がいらっしゃいます。それは以下のような理由が考えられます。
□認知症
シニアの猫に多いです。
□甲状腺機能亢進症
シニアの猫に多く、これは血液検査をすればわかります。
□ストレス
□脳の疾患
脳腫瘍があれば、よく鳴き怒りっぽくなることもあります。
上記のように病気のこともありますので、異常に鳴くようなれであれば動物病院で相談してくださいね。
コロナ禍でより猫の温もりがありがたいですね。猫は人のように言葉を話しませんが、飼い主が猫の鳴き声で気持ちを理解できます。猫語翻訳アプリを通して猫の気持ちを考えてあげるのもいいですね。なお、アプリの公式サイトでは、猫語の翻訳の精度については「完璧な理解を目標に頑張っている途中」と記しています。より精度が上がっていくといいですね。このアプリだけに頼るのではなく、猫をしっかり観察していまどのような気持ちか考えてあげてくださいね。