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夏の高校野球史上初? 「甲子園デビュー校ゼロ大会」の珍事!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
夏の甲子園出場校は間もなく出揃うが、初出場校なしという珍事になった。(筆者撮影)

 夏の甲子園出場校を決める地方大会は、日曜日の西東京大会決勝で幕を閉じる。土曜日には大阪で「2強」が対決し、大阪桐蔭が履正社を7-0で圧倒した。出場校の顔ぶれを見渡しても、常連校、名門校などおなじみの名前が多く並ぶ。各地方大会の決勝は、初めての甲子園をめざすチームが、ことごとく高い壁に阻まれた。その結果、今大会は甲子園初出場校ゼロという珍現象が起こった。

全国11大会決勝で「甲子園デビュー」ならず

 これまでに終わった地方大会で、勝てば春夏通じて初の甲子園、つまりこの夏に「甲子園デビュー」というチームが登場した決勝は11カードあったが、その全てで、デビューを目前にした学校が涙をのんだ。北から、旭川東(北北海道)、秋田南聖和学園(宮城)、帝京長岡(新潟)、帝京大可児(岐阜)、立命館守山(滋賀)、生駒(奈良)、倉吉総合産(鳥取)、飯南(島根)、尾道(広島)、神埼清明(佐賀)の11校である。

初出場ゼロは夏の甲子園史上初の珍事?

 上記11大会でも特に、宮城、新潟、岐阜、滋賀、奈良では、近年の甲子園で活躍している強豪が大きく立ちはだかり、勝負の厳しさを見せつけた。最後に残る西東京の決勝は日大三と東海大菅生の対戦で、現段階で、「甲子園デビュー校ゼロ」は確定している。詳しく調べたわけではないが、夏に関して言えば史上初の珍事ではないだろうか。

聖地への敬意「甲子園デビュー」

 ちなみに夏の甲子園に限っての初出場は、札幌大谷(南北海道)、明秀日立(茨城)、(兵庫)、帝京五(愛媛)の4校。甲子園大会は春と夏とで主催新聞社が異なるため、「初出場」をことさら強調する傾向にあるが、熱心なファンにとっては春も夏も関係ない。そこで聖地へ敬意を表して「甲子園デビュー」という言葉が誕生した次第。明秀などは今春のセンバツでも活躍したので、「初出場」などと言われたら、ファンは戸惑ってしまう。

48年前に原辰徳監督と当たった盈進

 ファン目線で言えば、今大会で最も初出場に近いのは盈進(えいしん=広島)ではないだろうか。波乱続きだった広島大会決勝は、意外な顔合わせとなり、半世紀近い甲子園ブランクのある盈進が、初出場を狙った尾道を破って48年ぶりの出場を決めた。筆者は前回出場時の盈進を甲子園で見ている。相手は、巨人の原辰徳監督(64)が1年生5番打者として活躍していた東海大相模(神奈川)で、激しい打ち合いだった。当時は、現在の白と違って色付きのユニフォームを着用していた記憶があり(青かグレーか?)、相模の薄青の縦じまユニともども「派手なチーム同士だったなあ」と懐かしく思い出している。

夏の甲子園開幕は来月6日

 いよいよ日曜日に49代表校が出揃う。3度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭と昨年の覇者・智弁和歌山を両横綱格に、名門、強豪が集う。組み合わせ抽選会は来月3日で、開幕は6日。コロナの脅威に負けず、全チームの完走を祈っている。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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